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異世界のイストワール  第10章~霧と島~  その2

~前回のあらすじ~
魔王討伐へ向けて本格的に動き出したシャクに大勢の仲間達が加わった。
攻撃も回復も可能であり、敵の弱点を見抜く事が出来る目を持ったラヅ。
戦姫と呼ばれる程の腕を持つヴェロニカ。
鞭捌きが抜きん出ている為、鞭の王子と恐れられるオルバ。
刀の振りは素直だが、性格は素直になれないヒルダ。
そして——————。
回復魔法のスペシャリストであり、恋に一途なミーシア。
これで、長旅の準備は整った。
シャク達は噂の魔力が溢れている“謎の島”へと向かう。


以下は続きです。


*朝。
地面に寝転んだまま目を擦り大欠伸をし、淡い水色の髪の毛で真っ青な着物を纏った青年。
そんな青年にチルノは暗い表情で微笑む。
「おはようございます、ギルさん。」
「・・・朝か・・・」
「はい。」
そして、彼女は続ける。
「シャクさん達・・・・旅立たれましたよ。・・・・・ギルさん・・・行かなくて良かったんですか?」
当のギルティは頭を掻き、面倒そうな顔をする。
「行くかよ、そんな面倒な旅。俺ァ、のんびりと此処に居られりゃそれで良いんだよ。」
「シャクさん達・・・サリエルさんとノラマを取り戻すって・・・」
「あっそ・・・そりゃァ、殊勝な事だな。」
言って、彼は寝返りを打つ。
チルノは少し怒った様な顔をして言った。
「ギルさん、そんなに呑気で居て良いんですか?・・・・・サリエルさんって・・・ギルさんの親友じゃないんですか?親友だったら止めるべきじゃ・・・・」
「あんな奴親友でも何でもねぇーよ。・・・・・・あんな・・・・黒薔薇なんざァ・・・」
「ギルさん・・・・」
ギルティは今までのサリエルとの長き日々を思い返す。
初めてこの村に来た時から今に至るまで。
そして、盛大な溜息をつく。
数分して青年はうんざりした様に起き上がると、頭を掻きながら歩き出した。
「どこへ行くんですかっ!」
とチルノ。
そんな召使に振り向きもせず言い放つ。
「散歩だよ。」
——————そう、すぐには戻って来れそうも無ぇ散歩だ。
それが分かっているのか、チルノは付け足す。
「この大陸から離れた島ですよ。・・・・シャクさん達は“幻界”を目指してますから・・・・」
背後から聞こえた彼女の声にギルティは大欠伸をした。



霧が立ち込める幻想的な島。
多くの木々が茂り、綺麗な森を創っている。
魔物の気配は一切しない。
神聖な島。

「此処が・・・・例の島か・・・・」
勇者は神秘的な島を見回し呟く。
その言葉にヒカルが頷く。
「あァ。・・・以前来た時と同じで・・・魔力が凄い満ちてる・・・・」
「そうですね。素晴らしい魔力です。」
とミーシアも言う。
「魔法が使える人達には感じるのかな?あたし、全然感じないわ。」
レイアは手を動かしたり、大きく息を吸い込んだりしている。
そんな武闘家の彼女と同様、ヴェロニカも頷く。
「自分もいっそ(全然)そんな事感じないな。」
「俺は少なからず感じるぞ。」
「ラヅさんは回復魔法使えるからじゃろう?」
「その様だな。」
「自分は武器で攻撃する事しか・・・・・っ!」
言いかけて彼女は腰に差していた剣の柄を握り、鋭い目をした。
当の彼女と同様、ヒルダもオルバもラヅも各々武器を握る。
「どうかしたんですか?」
とシャク。
「気配がしてな・・・・敵かもしれない。用心されよ。」
ラヅは魔法の包帯を少し掴む。
全員が構え、霧の向こう側を睨む。
何かの足音がする。
此方に向かって来る様だ。
そして———————。
薄らと影が見え始めた。
影は三つ。
それも人型。
シャク達の前にその影が姿を現した。
ボロボロに傷付いた白い鎧や籠手、ブーツ、盾、剣、そして、面頬を下げ顔を隠している中央の人物。
鉄製の鎧に身を包み、鉄の槍を装備し、緑色の髪の毛を晒し出し、青い目をした青年。
白いローブを纏い、クリーム色の髪の毛、緑色の目をした可愛らしい顔をした青年。
その三人に向かってシャクは剣を構え、冷静に問い掛けた。
「貴方達は何者ですか?」
赤い髪をした青年の問い掛けに中央の人物は声を発した。
「我々は敵ではない。・・・・・唯、“幻界”へ行く為に此処へやって来た次第である。」
低い女の声だ。
しかし、それに反応したのではない。
人物が発した“幻界”と言う言葉に反応したのだ。
「“幻界”を知っているのですか?」
「あぁ。・・・・して、貴殿達は何者であるか?」
「・・・俺達は旅人です。・・・・しかし、俺達も貴方達同様、“幻界”へ行かなければならない身であります。」
「・・・そうか・・・」
白い騎士は呟くとボロボロの兜を脱いだ。
綺麗な長い金髪が兜の下から溢れ出て、緑色の目が輝いた。
誰もが思った———————絶世の美女とはこう言う女性の事を言うのだと。
「同じ場所へ向かうのであれば、仲間と見なす。・・・・・我々は、この島より東にある大陸・・・・今はもう魔王軍どもに制圧されているが・・・その大陸にあるガムラン王国の者だ。」
「ガムラン・・・・王国・・・・」
どこかで聞いた事がある名前だとシャクは思った。
——————王国・・・王国・・・しかも・・・こんなに美人さんが居る王国・・・・・・・・・あっ!確か・・・アレクが言ってたっけな!絶世の美女が居るって!
「私はペイン。・・・・ペイン・シュメルツェンだ。」
と女騎士は言うと少し笑った。
そんな騎士に緑色の髪をした青年は苦笑して言う。
「ペイン様、“王女”と言うのをお忘れなく・・・・」
「良いのだ。此処では王女と言うものは要らぬ。」
「ですが・・・」
「ゼノ、お前も自己紹介をしたらどうなのだ?」
「は、はい・・・」
青年は姿勢を正すと、敬礼してシャク達に向かって言った。
「僕はガムラン王国第2部隊近衛兵隊長、ゼノ・ヴェルデです。以後、お見知りおきを。」
そして、苦笑して付け足す。
「ペイン様はガムラン王国の王女様であられます。」
「おい!ゼノ!」
「そして、此方にいらっしゃる方が・・・・」
ゼノと名乗った青年は隣に居る可愛らしい青年を見ながら言う。
「此方はペイン王女様の弟様であられる、エイク・シュメルツェン王子様です。」
名前を呼ばれた青年は微笑んでお辞儀をする。
「宜しくお願いします。」
そんな彼等を見てシャク達は警戒を解く。
どうやら、敵では無さそうだ。



白くて綺麗な髪の毛が床に落ちた。
左目を覆っていた白髪にさよならをする少年。
閉じた両目を開ける。
右目は吸い込まれそうな程綺麗な黒い目。
左目はルビーの様に真っ赤で綺麗な赤い目。
サリエルはそんな少年を眺め訊ねる。
「どうだ?俺の腕前は。」
ノラマは微笑む。
「赤目が喜んでるヨ。ありがとう、サリエル兄さン。」
「フフ・・・」
黒紫色の髪の青年はあまりノラマの赤目を見ない様にしていたが、そんな兄を見てノラマは言う。
「大丈夫だヨ。・・・・仮令サリエル兄さんがボクの赤目を見たとしても石にはならない様にボクがコントロールしてるかラ。」
「そうか・・・・そりゃァ偉いな。」
笑うサリエルにノラマは満面の笑みを返す。
弟の様に想う彼の笑みを見てもサリエルは一瞬笑っただけで、再び暗い表情へ変わり、窓の方へ行ってしまった。
ノラマは暗いサリエルを悲しそうな目で見つめ、問い掛けた。
「どうしたノ?サリエル兄さン・・・・元気ないみたいだけド・・・・」
いつ見てもサリエルの横顔は悲しさと怒りを秘めていた。
だから、ノラマの顔も、8本の蛇達も悲しくなる。
少年は蛇達の頭を撫でながら口を開く。
「蛇達が・・・・“サリエル兄さん・・・どうしたの?”って言ってるヨ。」
優しい声が黒薔薇の青年の胸に響く。
その声が逆に痛い。
どうしても父親の声の掛け方と似ている。
父親の生まれ変わりが目の前に居そうで、気が狂いそうになる。
少年は何も言わない兄の横顔を眺める。
しかし、それもほんの少しだった。
「ぐっ!」
激痛が頭を襲う。
その声にサリエルは我に返り、少年に駆け寄る。
「おい!ノラマ!」
「痛い・・・・痛い・・・」
「俺は何をしたら良い!!」
蛇達が暴れ出す。
「離れて!サリエル兄さン!・・・危ないッ!」
痛みに蛇達は部屋の中の物を破壊し始める。
箪笥を壊し、机を燃やし、シャンデリアを凍らせ、窓を割り———————。

“滅神王エウリア・・・”

“滅神王エウリア・・・”

“滅びの神。”

“滅びの王”

“漸く生まれた・・・・”

“がしかし・・・・滅神王は二人だけで良かったのかもしれない。”

“その方が均衡していて良かったのかもしれない。”

“ローレライが出来ない部分をヘンリが補い・・・・ヘンリが出来ない部分をローレライが補えば良い。”

“滅神王エウリアは別に誕生しなくてよかったのかもしれない。”

“生まれただけ邪魔になる。”


脳裏に移る見たことのある景色。
研究室。
様々な細胞を配合され、生まれた子。
緑色の液体が入れられたカプセル内に居る自分が薄ら見える。

——————これは・・そう・・ボク。

——————ボクはこうして生まれた。・・・・・だけど・・・・お父様は失敗だと言ったんだ。

——————本当は魔王は二人だった。ローレライとヘンリの二人だけだった。それで滅界は十分だった。

——————何故、ボクが生まれたんだろう・・・・?

“しかし、今からエウリアに蘇生術を使える様に設定すれば使えるな。・・・・・ローレライかヘンリのどちらかが死ねば、それをエウリアが復活させる。・・・・自身の身を犠牲にしてな。”

——————そうボクは・・・・“お兄様達が死んでしまった時の蘇生道具”。
唯、それだけの事。


「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!!」
白髪の少年は狂ったかの様に部屋中を荒らしまくった。
そんな少年をサリエルは驚いて見ていた。
———————アイツ自身の中で何かが蠢いているのは確かだ・・・・。
それを確信したサリエルは不適な笑みを浮かべていた。


★ ★


襲い掛かって来た魔物どもを刀で斬り捨てた青年。
面倒そうな顔をして歩く。
目的地はインパラーレ。
「ったく、乗り遅れたじゃねぇーか・・・・チルノの奴、起こしてくれても良かったじゃねぇーかよ・・・・・・・はァーあ・・・使えねぇー奴だぜ。」
真っ青な着物に付いた血や魔物どもの体液を眺め、青年は溜息をつく。
「折角、エルガに貰った一張羅が汚れちまったぜ・・・・畜生。」
何か愚痴愚痴言いながら青年は歩を進めた。
彼が歩を進めるたった一つの理由。
それは・・・・。
黒薔薇を白薔薇にする為———————。



続く…。
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2015-01-24 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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