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異世界のイストワール  第10章~霧と島~  その1

~前回のあらすじ~
サリエル達を滅神王から救い出す為、シャク達は滅界へ行く事を決意したのだが、行き方が分からない。そこで、彼等を救ったのがラヅとチルノであった。二人は各々“幻界”と言うキーワードを発し、勇者達に道を開いた。しかし、“幻界”があるであろう島はシャク達が居る大陸から離れている。海を渡らなくてはならないのだった。それに悩む彼等に手を差し伸べたのが魔法使いのヒカルであった。彼は魔法を習得する際にその島へ行った事があるらしく、転移魔法デジョンで行く事が可能と言う。
それ故、シャク達は“幻界”を目指して進むのであった。


以下は続きです。


第10章~霧と島~


*明け方。
顔を覗かせた太陽が壊れたニルバーナの村を照らす。その村人達は勇者一行の姿を見ようと集まる。
シャク達三人はそんな村人達を前にして、旅立とうとする。
彼等の前にはコネンド、ラヅ達が居る。ギルティは未だ寝ているらしい。
そんな旅人達を見て、コネンドが言う。
「大変な事件に巻き込んでしまったな・・・シャク君、レイアさん、ヒカル君。本当に申し訳ない。」
「良いんですよ・・・・素敵な人に会えたんですから・・・」
「シャク君・・・」
コネンドは少し暗い表情で言う赤髪の青年を見つめた。青年は見返し、続けた。
「必ずや魔王を討伐し、サリエルさん達を連れ戻します。」
「任せて下さい!」
レイアもシャクの後に続けて言う。
とその時。
村人達を押しのけ、蘇芳色の髪をし、軽い鎧の上に陣羽織を纏い、剣を携えた者がシャク達の前に乗り出した。
「シャクさん!自分も一緒に連れて行って下せぇっ!」
「ヴェロニカさん!」
乗り出してきたヴェロニカを止めようと、ラヅが彼女の腕を掴む。
「ヴェロニカ!お前は行けないぞ!」
「行くんです!何が何でも行くんです!」
「駄目だ!」
暴れるヴェロニカを押さえつけながら、ラヅは叫ぶ。
「お前は此処に残ってヒルダ達とニルバーナの復興作業を・・・」
しかし——————。
「ヴェロニカさん・・・・良いですよ。」
「へ?」
「是非、付いて来て下さい。貴女が居れば心強いです。」
シャクは少し微笑んで言った。
その言葉にラヅが驚愕する。
「何を!」
「良いんですかい!?」
「はい。」
「よし!」
ヴェロニカはラヅを突き飛ばし、シャク達の方へ歩み寄った。
それを見て、ラヅは言う。
「それでは俺も共に行こう。ヴェロニカをシャク殿達に預けておくのは少々気が重い。」
「はっ!?」
とヴェロニカ。
「それに・・・サリエルの奴を一発殴らねばな。何所で血迷ったのか・・・亜奴め・・・」
「ラヅさん・・・」
とそこへ、又しても声が掛けられた。
「ヴェロニカが行くんでしたら、俺も行きやすよ。」
「オルバさん!」
シャク達は驚愕する。
オルバはシャク達の前までやって来ると言い放った。
「何で貴様が来るんや!引っ込んでろや!クソガキが!」
「テメェーもガキだろうが。」
「何じゃと!?」
食って掛かるヴェロニカをさらりと流し、オルバは赤目を光らせた。
「俺も村に居て復興作業を手伝えば良いんでしょうが、シャク達の旅に出てヴェロニカの腕が上がるのが何より気に食わねぇーんですよ。」
「なっ!」
オルバは悪戯な顔をして付け足す。
「それに、俺ァ将来、ヴェロニカを殺す心算ですからねぇ・・・シャク達との長旅で死なれでもしたら、俺の標的が居なくなっちまう。」
「オルバさん・・・」
シャクはそこで確信した。
———————オルバさん・・・本当は・・・ヴェロニカさんの事を・・・・。
「ってなワケで、俺もついて行きますぜ。」
とオルバが宣言した時だった。
村人を掻き分けて深緑色の髪をし、自警団の制服と深緑色のマントを纏った青年がシャク達の前までやって来た。
「俺も行く。」
「ヒルダさん・・・」
そんな彼を見てコネンドがシャク達に説明する。
「シャク君達が寝静まった後に、我々自警団達で話し合いしたんだよ。シャク君達の旅にヒルが同行するってね。でも雅か、オルバも行くと言い出すとは予想出来なかったよ。」
「あれ?言いませんでしたっけ?俺も行くって。」
とオルバ。
「聞いて無いよ。」
コネンドは部下に言う。そして、シャク達を見て続ける。
「ヒルが、“このニルバーナがサリエルの帰る場所になる”って話し合いで言ってさ、ニルバーナを復興させるって話で、俺は言ったんだよ。‘それだったら、復興作業は俺等に任せて、お前は村長であるサリエルを謝罪も含めて迎えに行け’ってね。」
「コネンドさん・・・」
とそこへ、村人達は口々に喋り始めた。

「オラも最初はサリエルお坊ちゃんが狂っちまったと終わりだと思ったべさ。けんど、よくよくヴェロニカちゃんの話やヒルダさんの話を聞いていると、サリエルお坊ちゃんが怒るのも無理もねぇー話だって分かったべよ!!」

「私もよ!」

「アタイもよ!」

「ワシもだとも!」

「サリエルさんの立場を自分に置き換えてみれば・・・俺達だってきっと同じ事すると思ったんだ・・・・。俺だって・・・あんなに良い父親が居たらって考えたら・・・サリエルさんの気持ち・・・・痛い程分かるよ・・・」

村人達は自分の意見を次々と述べ始めた。
それを聞いてシャク達は嬉しい気持ちになった。
「皆さん・・・」

そう、誰しもその本人の立場と己の立場を重ね合わせれば、本人の気持ちが分かるものだ。

「それに・・・ノラマは確かにオラ達に悪さは一度もしなかっただべさ!」

「すんげー良い子だっただよ!!」

「私、帰って来て欲しいの。二人に!!」

「だから、勇者様!二人を連れて帰ってくんろ!!!」

村人達は次々にシャク達に乞う。
そんな村人達を眺め、シャクは言い放った。
「分かりました。必ずお二人を連れ戻し、世界を魔王達から救い出します。だから・・・」
そこでシャクは言葉を切ると、深呼吸をして——————。
「だから・・・サリエルさん達の帰りを待っていて下さい!!」

これが一番言いたかった事だった。



シャンデリアが天井に並び、赤黒い絨毯が敷かれた廊下を歩く、黒い布地に灰色の薔薇と茨が映えた着物を纏った黒紫色の髪の青年と、緋色のローブと8本の蛇を生やした白髪の少年。
連れ違う城の魔物達はエウリアを見る度に体を恐怖に震わし、敬礼をしたり、頭を深く下げたりしている。
滅神王三男エウリアが人間界から帰還したと言う情報はすぐに滅界中に知れ渡った。
そんな部下達を見ながら、ノラマは隣を歩くサリエルに問い掛けた。
「ねぇ、サリエル兄さン。」
「何だ?」
「どうして皆、頭を下げるノ?」
「・・・・そりゃァ、ノラマが凄い奴だからだ。」
「ボクが凄い奴なノ?」
「あァ。俺には唯の大切な弟なんだが、此処じゃァお前は凄い奴らしいぜ。」
「そうなんダ。」
と微笑む少年であったが、二呼吸程後に顔を歪ませる。
そして、頭を押さえ床に座り込んだ。後頭部から生えている蛇達も喚く。
「おい!ノラマ!」
サリエルは少し驚いた顔をしてノラマの肩に触れた。
心配するサリエルに作り笑いを浮かべ、口を開く。
「だ、大丈夫だヨ・・・・少し、頭が痛くなっただけだかラ・・・・・・・・・・うっ!」
頭がガンガンする。
——————どうして・・・・頭が痛むノ?
そして、何かが脳裏に浮かぶ。

崩壊していく滅界。
闇の霧に飲み込まれていく滅界の大地。
逃げ惑う魔物達。
血塗れの自分。
大きな黒い影が滅んでいく。

———————何・・・この風景・・・でも何故か・・・・見たことのある場所・・・・。

聞こえてくる。

“滅神王エウリアは生んではならなかった滅神王であった・・・”

———————それは・・・ボクの事・・・・?

「ノラマ、大丈夫か?」
とサリエルの問い掛けで我に返ったノラマは冷汗を拭った。
「大丈夫・・・・ハァ・・・ハァ・・・」
弱々しく、産まれ立ての小鹿の様に立ち上がり深呼吸をする。
「何があったんだ?ノラマ。」
———————この顔・・・ボクに何かあったら向けてくれる・・・サリエル兄さンの顔ダ・・。心配そうな顔・・・・。
ノラマは頭を振ると、サリエルに微笑んだ。
「ううン、何も無いヨ。ちょっと頭が痛くなっただけだかラ。」
「本当か?」
「う、うン・・・・」
サリエルはノラマの微笑を作り笑いだと見抜いたが、これ以上問うのは止めた。
———————ヘンリとか言う奴等の本当の弟であるならば、ノラマの記憶が戻り始めているに違いねぇーな・・・。・・・フン、滅神王エウリアとして目覚めるか・・・・・。
白髪の少年は深呼吸をすると口を開いた。
「サリエル兄さン・・・・部屋に帰ったら・・・左の前髪を切ってヨ。・・・・左目が外の世界を見たいんだっテ。」
弟の様に想う少年の願いにサリエルは薄く笑った。



転移魔法デジョン。
それは一度行った事のある場所へ移動する事が可能な魔法である。
しかし、それを発動させるのは魔法陣を描かなくてはならない。
それ故、魔法使い達の間では一番面倒な魔法だと言われてきた。

魔法使いヒカルはインパラーレで貰った“魔法使いの杖”でニルバーナの村の地面に魔法陣を描いていく。
そして、数分後に完成させた。
「完成したぞ。」
と一言。
シャクは礼を言い、魔法陣の方へ歩み寄る。その勇者の後にレイア、ラヅ、ヴェロニカ、オルバ、ヒルダが続く。
とそこへ————————。
「ヒルダさんっ!!!」
女の声がした。
シャク達を含め、全員が振り返る。
村人達を掻き分け、長い茶髪の女が飛び出して来た。
彼女は綺麗な緑色の目でヒルダを真っ直ぐに見つめる。
「ミーシアさん・・・」
とレイア。
駆けて来た彼女はいつもの服では無かった。
軽い樫の杖、淡い桃色のローブ、銀の腕輪、僧侶が履く白いシューズを装備していた。
そんな彼女を見つめ、ヒルダは言った。
「ミーシア・・・・」
「ヒルダさん、私も行きます!」
「っ!」
ミーシアは魔法陣へ歩み寄るとシャク達に向かって言った。
「シャクさん、私も連れて行って下さい。」
「ミーシアさん・・・・」
「きっとお役に立てるはずです。回復は私に任せて下さい。」
「で、でも・・・」
シャク達三人は顔を見合わせる。
確かに、今ミーシアが仲間に加入すれば居ない回復役が居て非常に助かる。しかしその一方で正直戦闘は苦しくなる。
体力に乏しい魔法使いに加え、それ以上体力に乏しい僧侶が居るとなると、二人を守りながら戦闘をするのは厳しい。だから、返答に困る。
「お願いします!!」
頭を下げるミーシア。
そんな彼女を見てヴェロニカが口を開いた。
「自分は賛成じゃけど、シャクさん達はどうなん?」
問い掛けられ、レイアは応じる。
「私は良いわよ。回復役が居れば心強いしね。」
「俺も。」
とヒカル。
オルバも両手を頭の後ろに回し呟く。
「俺もっすよ。」
「回復魔法が使えると言っても俺のは端くれだ。ミーシア殿の様な回復専門の人が居れば心配無用だな。と言うワケで俺も賛成だ。」
ラヅも頷き言う。
そんな仲間の意見を聞き、ヒルダは唇を噛む。
「ヒルダさん・・・・」
とミーシア。
黙っている上司を眺め、オルバがからかう。
「ヒルダさん、イチャつくチャンスですぜ!!」
「黙れっ!誰がそんな卑猥な事するかっ!」
怒号を上げ、ヒルダは再び黙った。
そこへ、コネンドが声を掛ける。
「ヒル、連れて行ってあげろ。」
「コネンドさん!」
「お前は分かっているはずだ。ミーシアさんがどれ程、ヒルの身を案しているかを。どれだけお前と一緒に居たいかを。」
「だけどな、コネンドさん!これはデートなんかじゃねぇーんだ!!死が付いて回る!そこに易々と・・・・」
「知っているさ。・・・だけどな、その死を覚悟してまでミーシアさんはお前について行きたいと言っているんだ。その気持ちを理解してやっても良いと俺は思うがな。」
上司の言葉を聞き、ヒルダは拳を創り叫んだ。
「出来るワケがねぇーだろう!!」
青年を眺め、コネンドは厳しい顔をした。そこで彼が何かを言おうとしたのだが、それより先にミーシアが叫んだ。
「私はヒルダさんの事が好きだから!!死んで欲しくないの!!・・・・強く、逞しく、生きてて欲しいの!!・・・ヒルダさん、いつか私に言いましたよね・・・・“笑っていてくれさえすれば良い”って・・・・私が笑って居られる場所は・・・・・」
そこでミーシアは言葉を切り、深呼吸をして一息に言った。
「・・・・ヒルダさんの隣なんです!!」
その言葉にヒルダは呆気に取られた。
ヴェロニカはそんな彼女を見つめ、自分と重ね合わせていた。

——————自分と同じじゃ・・・・。

——————この子も又・・・・追い掛けてたんじゃね・・・。


村全体が静まり返って数分後。
ヒルダの溜息が聞こえた。
そして、深緑色の髪の青年はそっぽを向くと、吐き捨てる様に言い放った。
「好きにしろ。」
彼の言葉が届き、ミーシアの緑色の目が輝いた。
「・・・・・・お前を連れて行かねぇーと・・・・・・死んだお前の馬鹿兄貴にどうも呪われそうでいけねぇーや。」
そう呟く青年を眺め、コネンドは思う。

——————どこまでも素直じゃない男だな・・・・ヒルは。

そんな彼等を眺め、シャクは頷いて言った。
「決まりですね。」

これで、長旅のメンバーが決まった。

続く…。
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2015-01-23 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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