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異世界のイストワール  第9章~真実と復讐と旅立ち~  その8

~前回のあらすじ~
崩壊したニルバーナ。そこで、シャク達は魔王を倒すべく再び立ち上がる。しかし、それに応じてヴェロニカも共に戦うと言い出した。検討している最中にヒルダが謝罪をしに赴く。とそこへ、ノアの死を告げられ、又大切な仲間を失ってしまったと絶望の淵に立つシャク達であった。

※上手くあらすじ書けなかった。すまん。


以下は続きです。


*「ミーシアさん、気が付きましたか?」
ミーシアは目をゆっくりと開け、心配そうに顔を覗き込んでくるチルノを見て、身を起こした。
「チルノさん・・・・」
「良かった・・・」
茶髪の少女は周囲を見回す。何所を見ても森だらけ。
「此処は・・・・」
と言い掛け、目を見開く。
「ニルバーナは!ノア兄さんは!ヒルダさんやオルバさんは!」
チルノは暗い表情をし黙る。
共に逃げた数人の村人達も俯く。
誰も問いに答えてくれないのをミーシアは答えと見なし、立ち上がる。
そして———————。
「ニルバーナへ戻りましょう。」
「ミーシアさん!」
「皆さんが心配です。」
彼女は言うと歩き始めた。



漆黒の世界。
暗雲が覆い、雷鳴が轟く滅界にある滅神王城に辿り着いた魔族達一行は城のロビーに入る。
玄関を入って赤黒い絨毯が敷かれた大きな階段がある。それを珍しく眺め、エウリアは感嘆する。
「凄いネ、この部屋。そう思わない?サリエル兄さン!」
微笑んで問い掛けてくる少年に妖艶な笑みを浮かべるサリエル。そして、エウリアはロビーを見物しに回る。
そんな彼を不満げな顔で睨むヘンリ。
———————この人間には“兄さん”とつけるが・・・俺には付けないのか・・・。
気絶したアーノルドを抱えたアプフェルは少し不機嫌そうな顔でぶっきら棒にヘンリに問う。
「それで、この人間どーすんの?」
「・・・・牢屋にでも入れておけ。」
「了解っと。」
アプフェルは返事をするなり、牢屋がある方へ去って行った。
そんな部下の背を眺め、盛大な溜息をつく。
——————全く・・・アプフェルの奴・・すぐに機嫌を悪くする。相変わらず面倒な奴だ。
「後で好物の林檎でも持って行ってやれば良いじゃねぇーか。大事な部下なんだろう?」
不気味な笑みを浮かべて言うサリエルを驚いた目で見つめるヘンリ。
——————何故・・・こいつがアプフェルの好物を知っているのだっ?
驚愕の表情を浮かべている滅神王次男に笑い掛け、サリエルは続けた。
「何故、俺がアイツの好物を知っているかって?見りゃァ分かるよ。林檎みてぇーな面してっからな。」
それから言葉を一旦切り、懐かしそうな顔をする。
「昔、父さんが言ってたからな・・・・“好きな物ばっか食ってるとそう言う顔になる”ってな。やっぱり、父さんの言う事は本当だったんだな・・フフフ・・・」
ヘンリは連れ帰った人間を少し睨み、そっぽを向いた。
そこへ、声が掛けられた。
「ヘンリ~っ!帰ったの~!?」
ヘンリはその声を聞き、うんざりした様な顔をした。
階段を降りてきたのは紳士服を纏った滅神王長男ローレライとその部下、大悪魔神官カルコスであった。
二人はロビーへ降りて来るや否や先ずサリエルを眺めた。
「この子は何方?人間らしいけど・・・・」
「サリエルだ。ワケあって人間界から連れて来たのだ。」
「へぇ~、サリエルちゃんって言うのねぇ~・・・可愛いじゃない。」
ローレライはサリエルの全身を舐める様に見物し、手を叩いた。
「男なのに優美ねぇ~!」
「おい、ローレライ。気持ち悪い、止めろ。」
とカルコスが止める。
そんな部下に向かってローレライは微笑んで言う。
「あら?カルトス君、嫉妬してるの?」
「してねぇーよ!!誰がするか!」
「強がっちゃってぇ~!!まァ、そこが可愛いのよね。」
「黙れ!!」
怒鳴り、カルコスは珍しそうに部屋を見回っている白髪で8本の蛇を生やした緋色のローブを纏った少年に視線を向けた。
「ヘンリ様、あの御方が滅神王エウリア様ですか?」
とカルコス。
「あぁ。」
ヘンリの返事を聞くと、ローレライは無邪気な雰囲気を漂わせた弟を眺め、歩を進める。
「おい!馬鹿!」
ヘンリは慌てて兄を止めるが、彼は歩を進める。
しかし、ヘンリの言葉とは別に歩を止め、振り返らず言う。
「サリエルちゃん、そんなに殺気を放たなくても平気よ。私は彼に何もしないから。」
その言葉でサリエルは殺気を少し弱めた。
それを確認し、ローレライはエウリアへ歩み寄り、明るく歌う様に弟の名前を呼ぶ。
「エウリアちゃん♪」
聞いた事の無い声に少年は少し警戒して振り向く。
ローレライは少年に視線を合わせ、口を開く。
「エウリアちゃん♪なぁ~にしてるのかしら♪」
「ボクはノラマだヨ。」
名前を言う少年にローレライは微笑む。
「そう。ごめんなさい、お名前を間違えちゃって。」
「良いヨ。」
「それで、何してたのかしら?」
「ケンブツ。」
「ケンブツ・・・・面白いモノあった?」
「分かんなイ。」
「そう・・・・・」

二呼吸程後。

「そうそう私、この城の主の滅神王長男のローレライって言うの。どうぞお見知りおきを。」
微笑む長身で白髪の男の顔を見て少年はきょとんとした。
「此処の主さン?」
「そうよ。って言っても、此処は私とヘンリーと貴方の城なんだけどね。」
「ボクの・・・・城?」
「うん。此処は貴方のお家でもあるのよ。私とあそこに居るヘンリーと貴方は三兄弟なの。滅神王三兄弟。」
「・・・・キョーダイ?」
「私は貴方のお兄様。ヘンリーも貴方のお兄様。そして、貴方の本当の名前はエウリアよ。」
すると、少年は首を横に振った。
「ううン、違うよ。ボクの兄さんはサリエル兄さんで、ボクの名前はノラマだヨ。そして、此処はボクの家じゃないヨ。」
「でもね・・・貴方は・・・」
「ボクはノラマで、兄さんはサリエル兄さんだけだヨ!嘘付かないデ!」
少し怒り気味の少年にローレライは苦笑して再び謝った。
「ごめんなさい。悪気は無かったのよ・・・・・・・・・まぁ、貴方がそう言うのならそうなのね、ごめんなさい。」
謝るとローレライは少しして何かが閃いたらしく手を叩いた。
「そうだ★・・・ノラマちゃんだっけ?お腹空いてない?」
「お腹・・・」
ノラマは少し考えて、ローレライの背後に居るサリエルに問い掛けた。
「サリエル兄さンはお腹空いてなイ?」
「っ!」
意外な弟の行動にローレライは少し驚いた。
兄と慕っている人間の返答を待っているノラマの目は輝いていた。
そして、二呼吸程後——————。
「俺ァ空いてねぇーけど、ノラマはどうなんだ?」
「う~ン・・・少し空いてるみたイ。」
「だったら、飯でも食うか?」
「うン!!」
元気な声で返事をすると、ノラマはローレライを無視し、サリエルの方へ駆けて行った。
ローレライは唖然として振り向き、苦笑し言った。
「そ、それじゃぁ、魔王の間でディナーにしましょうか。ヘンリー、カルトス君、サリエルちゃん達を案内してあげてちょうだい。」
長男の言葉に二人はサリエル達を促した。
そんな彼等を眺め、ローレライは思った。
———————私の手には負えないわねぇ・・・さて、どうしたものかしら?



夕日が荒んだ村を照らす。
死んだ村人達の墓を創る。そして、生き残った村人達は、とりあえず今日寝れる場所と食料を手に入れる為、村の外へ出る。
一方では、とある三つの墓の前に両膝を突き立て、泣いている者が居る。
茶色の長く綺麗な髪の毛を風に靡かせ、涙を流している。
そんな彼女の弱々しい背中を眺め、シャク達は口を固く結んでいた。
「・・・ママ・・・パパ・・・ノア兄さん・・・・・」
ミーシアとチルノ、逃げた村人達は村に戻るや否や、ノアの死を聞かされた。
シャク達もそれは伝えたくなかった事だ。
「ミーシアさん・・・・」
とコネンドが悲しそうな顔をして彼女に呼び掛ける。
「・・・さよなら・・も言えなかったわ・・・。」
溢れる涙を拭い、彼女は続ける。
「それに・・・私・・・ノア兄さんに酷い事言ってしまったわ・・・・あんなに私の事・・・大切にしてくれていたのに・・・・」
誰もが兄を亡くした妹に声を掛けられなかった。
そうして、涙と共に時が過ぎていった。



滅神王の間。
そこに長いテーブルが並び、レースのテーブルクロスが掛かっている。
そして、その綺麗なテーブル上にはキャンドルや青い薔薇と黒い薔薇の花瓶が各々三つ整列し、豪華な食事が並べられていた。
ローレライは真っ赤なワインを飲むと、サラダを食べているエウリアに微笑みかけた。
「エウリアちゃん・・・じゃなくて、ノラマちゃん。ディナーが終わったら、お洋服を着替えないかしら?」
そんな兄の問い掛けに少年は少し悩み顔をし、隣に座ってワインを飲んでいるサリエルに問い掛けた。
「サリエル兄さン、ボク、着替えた方が良いノ?」
サリエルは不適に哂うと、ワイングラスをテーブルに戻した。
「どっちでも良いさ。ノラマが着替えたいんだったら、着替えれば良いじゃないか。態々、俺に聞く事なんざァねぇーよ。」
「そっカ。」
ノラマは微笑み、ローレライに視線を戻した。
「このままで良いヨ。・・・・この緋色のローブは・・・大切な人がくれたかラ・・・」
「そう・・・分かったわ。」
魔王は満面の笑みを浮かべ、ステーキをナイフで切り始めた。
しかし、その笑みとは裏腹にヘンリとカルコスは不機嫌そうだった。
今のエウリアとサリエルの遣り取りを見るとやはり腹が立つ。
自分の弟である彼が唯の人間を“兄”と付けて呼び、必ず問い掛けられたものを問い掛ける。
自分達の魔王である彼が人間に許可を求める。
二人にとってそれは尋常では無いことである。
そんな二人を眺め、ローレライは苦笑したが、少し驚いた顔をしてヘンリに問い掛けた。
「そう言えば、ヘンリー」
「“ヘンリー”じゃない“ヘンリ”だ。何度伸ばすなと言えば分かるのだ。態とらしい。」
ヘンリはサラダにドレッシングを掛けながら不満げに言い返した。
「良いじゃない、ヘンリー。・・・・で、アプフェルちゃんは?」
「奴なら機嫌が悪くて、部屋に籠っている。」
「まぁっ!ヘンリーったら、あの子に何かしたんでしょう!」
「するわけがないだろう!」
「だったら、どうしてあの子がこのディナーに居ないのよ!」
「知らんっ!」
「折角、あの子の為にデザートを林檎ケーキにしたって言うのに・・・・」
ローレライは悲しそうな顔をし、テーブルに頬杖を突き立て、溜息をついた。
そんな魔王を見て、大悪魔神官リンネルがフォークを置き、立ち上がった。
「ローレライ様、私がアプフェルさんに林檎ケーキを届けましょうか?」
しかし、彼女をヘンリが止める。
「お前には関係無いことじゃないか。無理にリンネルが動く事も無い。」
「ですが、ヘンリ様。ローレライ様が悲しんでおられます故、アプフェルさんに林檎ケーキをお届けしなくてはなりません。」
「リンネル、あのな・・・」
「良いのよ、リンちゃん。ヘンリーの言う通りで貴女には関係無い事よ。貴女がアプフェルちゃんの機嫌を悪くさせたんじゃないんだから。」
「しかし・・・」
それでも止めないリンネルにローレライは微笑んで制止すると、ヘンリに視線を向けた。
「後でヘンリーが届けるわよ。」
「はっ!?何を言っているのだ!」
ヘンリは驚愕し、怒号を上げた。
「だって、本はと言えばヘンリーがアプフェルちゃんの機嫌を悪くさせたんじゃないの。何をして機嫌を悪くさせたのかは知らないけど。」
「俺は唯、村を破壊するのに魔物を召喚しただけであってだな・・・」
「それがいけなかったのよ!」
「仕方無かったのだ!亜奴に村を破壊しろと言えば、何も残らん。亜奴は加減と言うものを知らん。だから・・・」
「あの子はヘンリーからの指示を待っているのよ!なのに、ヘンリーったら!・・・・もっと、部下を大切にしたらどうなのよ!私は貴方をそんな弟に育てた覚えは無いわ!私を見てみなさいよ!カルトス君をこうして大切にしてるじゃないの!」
ローレライは言うと、席を立ち、オレンジジュースを飲んでいる大悪魔神官カルコスの方へ歩み寄って行こうとしたが、当の彼はコップをテーブルに置くと、素早く席を立ち、身構えた。
「嫌われているではないか!」
そんな兄に鋭くヘンリが言った。
しかし、当のローレライは優しい笑顔のままだ。
「失礼ね、嫌われてなんか無いわよ。彼は恥ずかしいだけよ。ねぇ~、カルトス君♪」
優しく微笑んで問い掛ける上司にカルコスは目を半眼にして応じた。
「死ね。」
その返事を聞き、ローレライは快活な笑い声を上げた。
「やだなァ~カルトス君。私に死ねだなんて★・・・・そう言うの、“愛の裏返し”って言うのよね?もう、ツンでれさんなんだから!」
「気持ち悪い、消え失せろ。頼むから、誰かに封印されろ。」
「そんなに照れないでよぉ~★」
と魔王兄が駆け寄ろうとした刹那。
すっとサリエルが椅子から立ち上がり、魔王の間を出ようと扉に向かい歩き出した。そんな彼を見、白髪の少年は慌てて椅子から立ち、追い掛ける。
「あっ!エウリアちゃん!!」
とローレライ。
しかし、少年は振り返らない。
「サリエル兄さン、何所行くノ?」
「分からない。当ても無い散歩だ。」
「だったら、ボクも行くヨ!」
「飯は食ったのか?」
「うン!」
弟の様に思っている少年の頷きに、黒紫色の青年は鼻で笑う。
「嘘付け。サラダしか食って無かったじゃねぇーか。」
「・・・た、食べたヨ。・・・・・・サ、サリエル兄さンこそワインしか飲んでないじゃないカ。」
言い返す少年にサリエルは妖艶な笑みを浮かべる。
「お互い様か・・・」
「そうだネ。」
と言って笑う白髪の少年の横顔を遠くから眺め、ローレライ達は切なくなった。



何も知らない星達が輝く夜。
崩壊した村の各々に焚き火の炎が燃える。それを各々囲む村人達。
そんな彼等から離れた場所にシャク達の焚き火はあった。
盛んに燃える炎に顔を各々照らす。
しかし、ミーシアやヒルダ、オルバ、ヴェロニカは居ない。
彼等を除いた皆はこの先の事を話す。
「俺達は魔王を倒し、サリエルさん達を助け出す為に旅立ちます。」
とシャクは言い放った。
青年の決意を聞き、ラヅが険しい顔をした。
「簡単に旅立つと言ってもどうやって魔王の根城まで行くのかが問題であろう。」
「・・・そ、それは・・・」
「魔王は魔界とやらに住んでいる輩。決して人間には行くことの出来ない場所であるぞ。どうやって行く気なのだ?」
問われてシャク達は俯いた。
確かに、簡単に魔界へ行くと言っても行く方法を考えていなかった。ヒカルが詠唱可能になった転移魔法デジョンでも一旦行った場所で無いので、例え詠唱したとしても無駄だ。
沈黙した旅人達に向かってラヅが口を開いた。
「俺が幼かった頃だが、俺はこのニルバーナから少し離れたインパラーレと言う町に住んでいた。まァ、エルガさんに憧れて此処へやって来たワケだが・・・・。そこで、俺は昔読んだ事がある。・・・・・この人間界、魔王達が暮らす魔界、神と天使達が住んでいる世界とは別に世界があるとな。」
「別の世界・・・ですか?」
とシャク。
ラヅの言葉にコネンドも頷く。
「俺も何処かで聞いた事があるぞ。何て言ったっけな・・・」
「その世界は“幻界”と呼ばれている。」
「ゲンカイ・・・」
「あぁ。その“幻界”を治めるのが、“幻魔”と呼ばれる魔王や女神とは又違う者だ。聖でも悪でもない者だ。」
「ゲンマ・・・」
「その“幻界”に住む“幻魔”であれば、勇者であるお前達を魔界へ飛ばしてくれるであろうな。」
薪を燃べる紅梅の長髪の青年にレイアが問い掛けた。
「その・・・“幻界”は何所にあるんですか?どうやったら行けるんですか?」
しかし、ラヅは首を横に振り申し訳なさそうに呟いた。
「残念ながら、そこまでは書いていなかったのだ。すまんな・・・」
「ったく、使えねぇーロン毛野郎だなァ。」
とギルティが寝転がって言い放った。
「黙れ。何もしていない貴様に言われる筋合いは無い。」
ラヅの話を真剣に聞こうとする青年達を眺め、そこで漸くチルノが口を開く。
「あ、あの・・・・」
「何ですか?チルノさん?」
シャクが彼女に視線を向けた。
すると、チルノは深呼吸をして話し始めた。
「・・・エルガさんが・・・生前・・・その・・“幻界”の事を調べていました。シャクさん達の役に立ちたいって・・・」
「エルガさんが!?」
「はい。・・・・“幻界”はこの大陸とは離れた島にあるって。だけど、離れた島に辿り着いても皆は見つけられないって。だって、その島には森と霧が掛かっているだけで、何も無いって。」
「この大陸から離れた島・・・」
「森と霧・・・・」
「皆には見つけられない・・・」
シャク達は順々に言葉を引き継ぎ、首を傾げる。
「おい、ヒカル。何か魔法を習ってる時に教わらなかったのか?幻界の事とか・・・」
とシャクが唐突に魔法使いに問い掛けた。
「そんなのは教わっていない。・・・・・・・だけど、ニルバーナから南西に海を渡った先に島があるのは教わった。」
「マジか!」
「あァ。」
魔法使いの言葉に全員の視線が集まる。
「何て!」
「そ、それは・・・・・あの島は昔から魔力に満ちているって。」
「魔力に満ちている・・・?」
とレイア。
「あァ。」
「どう言う意味だ?」
首を傾げるシャクにヒカルは悩み顔をした。
「意味は知らないけど・・・兎に角、魔力に満ちた島なんだそうだ。だから、見習いの魔法使いは多くの魔力を得る為に熟練した魔法使いと共に必ずそこへデジョンで行くんだってさ。そして、デジョンでその島を覚えて、時々魔力を得に行くんだって。」
「って、事はつまり・・・ヒカルも・・・」
「行ったぜ。確かに、魔力が満ちてた。」
ヒカルの返答にレイアは拳を創り、言い放った。
「それじゃァ、その島に行って“幻界”を探しましょうよ!」
「そうだな!」
シャクは大きく頷く。
「ありがとうな、ヒカル。やっぱり、お前は頼りになるぜ。」
顔を輝かせて言う勇者にヒカルはそっぽを向いて呟く。
「べ、別に・・・魔法を習得する際に行っただけであって、大した事じゃない。」
「俺等には大した事なんだよ。ありがとう。」
「お、おう・・・」
魔法使いに礼を述べ、シャクはチルノやラヅにも礼を言う。
「ラヅさん、チルノさん、貴重な情報をありがとうございます。おかげで道が開けました。」
「いえいえ・・・」
とチルノ。
ラヅは再び薪を燃べながら返す。
「礼など無用だ。それより、サリエル達を頼んだぞ。」
「はい!」
勇者は力強い返事をし、拳を握り締めた。
これからが本番だ。
そんな気がする。



墓の前にミーシアは未だ居た。
そんな彼女を背後から見守るヒルダ。
「・・・ヒルダさん・・・私の事は良いです。皆さんと焚き火をしに行って下さい。」
弱々しく呟く彼女を眺め、ヒルダは溜息をつく。
「放っておけるかよ。」
夜風に髪や顔を撫でられ、彼女の隣へ歩み寄る。
「お前の事・・・・お前の馬鹿兄貴に頼まれたんだ。」
「ノア兄さんが・・・?」
ミーシアは驚いた顔をしてヒルダの顔を見た。
「妹を悲しませるな・・・ってな・・・フン、俺ァ、一度もお前を悲しませた覚えなんざァねぇーんだけどな・・・」
「ヒルダさん・・・・」
ヒルダは装備している深緑色のマントを脱ぐと、ミーシアの肩に掛けた。
「今日は夜風が冷てぇ。」
「そうですね・・・」
マントを肩に掛けられ、ミーシアの頬は少し赤らんだ。
「・・・・・・・・・お前に風邪でも引かれたら困るからな。」
「え?」
深緑色の髪の青年は月を仰ぐと呟く。
「お前の馬鹿兄貴に呪われそうでいけねぇーや・・・・」
そう呟く青年の顔はいつもより悲しそうに見えた。



無表情の月は残酷な村を照らす。
その上を走る流れ星。
シャクはそんな夜空を仰ぐ。

明日が出発の時。


続く…。
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2015-01-20 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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