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異世界のイストワール  第9章~真実と復讐と旅立ち~  その7

※今週は<異世界のイストワール>がいっぱいアップされると思う。(・・・・多分)
まぁ、他の小説の方も頑張ってアップする様に努力してみるぜ。


~前回のあらすじ~
燃えるニルバーナの村内では魔物と人間の壮絶な戦いが繰り広げられている。それを笑いながら眺めるサリエル。滅神王ヘンリの誘いに乗り、彼は魔界へと足を踏み入れようとしている。それを制止するギルテイ達であったが、その努力も虚しく消える。
戦火に飲まれるニルバーナを残し、サリエルは終に消えてしまった。


以下は続きです。


*夕暮れの中、燃え尽きた村は灰と化した。
多くの魔物と村人達の残骸が無惨に転がっている。
シャク達は力無げに村を見る。

何も無い。
向日葵が消えた日からは———————。

完全にニルバーナは崩壊した。

家々も焼き崩れ、跡形も無い。
唯、それを夕日が虚しく照らすだけであった。
シャクは拳を握り締め、唇を噛み、俯いた。
「何で・・・・何でっ・・・・こんな・・・・」
体を震わせ、呟いている勇者を眺め、ヒカルとレイアも言葉を失った。
辛うじて生き残った村人達は涙を流し、崩壊した村を見つめた。
「何も・・・護れて無いじゃないかっ・・・・・」
「シャク・・・」
とレイア。
彼女も必死に涙を堪え、彼を見る。
とそこへ、女性の泣き声が聞こえてきた。
ヴェロニカが泣いている。
彼女は両手で顔を覆い、泣いている。
まるで、今まで塞き止めていたダムから水が溢れ出したかの様に。
「ヴェロニカ・・・」
ラヅが彼女へ寄り、肩に触れる。
そんな彼等を横目で見、ギルティは唇を噛んだ。
——————エルガ・・・アンタはとんでもない人だったんだな・・・・・。

一方、荒んで破壊された村を眺め、血塗れのヒルダ達三人は呆然とした。
護れたものが一つも無い。
ヒルダは舌打ちをし、刀を腰に差した。
それを見てオルバが口を開く。
「ヒルダさん、休憩しても良いっすかい?俺、疲れたんで。」
「好きにしろ。」
「それじゃァ、休憩って事で。休憩が済んだら、戻って来ますねぇ~」
オルバは肩を揉みながら、座れそうな椅子を見つけに歩を進めて行った。
そんな部下を見、コネンドはヒルダに歩み寄った。
「ヒル・・・・これから・・どうする・・・」
ヒルダは問い掛けられ、夕日を仰いだ。
「・・・どうするって、そりゃァ村を復興させるさ。」
「っ!」
「ニルバーナは滅びはしねぇ。エルガさんの息子が居る限りな。」
「ヒル、雅かっ・・・!」
「コネンドさん、すまねぇーが、生き残っている村人に村復興の計画を伝えてくれ。俺ァ、シャク達のとこに行ってくるから。」
言うなり、ヒルダは歩き出した。
そんな彼をコネンドは少し驚いた顔をして見続けた。



「シャク、お前ぇ等はこれからどーすんだ?」
唐突にギルティが問い掛けてきた。
シャク達は暗い表情をして黙っていた。
しかし、二呼吸程後にシャクが口を開く。
「俺等は魔王の根城まで行く心算です。行って、魔王を倒して、サリエルさんとノラマを取り戻します。」
「・・・そうか・・・」
「それなら自分も連れてってくれや!!」
青年の言葉に涙を滴らせたヴェロニカが叫んだ。
「ヴェロニカさん・・・」
「自分も魔界へ行ってサリエルさん達を取り戻したいっ!お願いじゃ!!」
彼女は尚叫ぶ。
「このままじゃァ・・・やれん事(大変な事)になりそうじゃ・・・・」
「ヴェロニカ・・・」
ラヅは彼女を眺める。
とそこへ、傷付いた自警団ヒルダがやって来た。彼を見るや否や、ヴェロニカの目が鋭くなった。
「ヒルダさん・・・」
とシャク。
ヒルダは全員を一瞥し、少し間を置いて言い放った。
「・・・親父がすまねぇ事をした・・・」
そんな彼の言葉を聞いて、ギルティが不適に哂う。
「へっ、何を言うのかと思えば・・・プライドのお高い自警団副隊長ヒルダ・トエーガさんが謝罪のお言葉を言いなさるとはなァ・・・こりゃァ参ったぜ。」
「親父が此処まで下衆な輩だとは思っていなかった・・・・それを見抜けなかった自分に・・・逆らってまで親父を止めなかった自分に腹が立つ。」
「ヒルダさん・・・」
「すまねぇ・・・の言葉一つで済む問題じゃねぇな・・・・」
ヒルダは皆から視線を反らすと燃え尽きて壊れたエルガの家を眺め、続ける。
「此処はニルバーナ・・・・エルガさんが守ってきた村だ。・・・・・だから、俺達は今から復興作業に入る。」
「!」
彼の言葉に全員が驚いた。
「俺等がニルバーナを復興している間、シャク達はサリエル達を連れ戻して来い。」
「ヒルダさん!」
「此処はサリエルの帰る場所になる。」
その言葉を聞き、ヴェロニカの目から再び涙が伝った。
「ヒルダ・・・お前・・・」
ラヅも驚愕の表情をし、言葉を切る。
「良いから、黙って動け。・・・・ニルバーナを消えさせやしねぇ・・・・」
シャク達全員はヒルダの最後の言葉に励まされた。
がしかし、その少しの喜びも虚しくコネンドの言葉で崩れた。
「ヒル!!!ノアが!」
「っ!」
コネンドの叫び声にシャク達全員が嫌な予感を脳裏に過ぎらせた。



漆黒の空間内でエウリアは何かを感じる。
———————・・・何か・・・忘れてはならない記憶がある様な気がする・・・随分昔の事らしいけど・・・・。

以前、感じた事のあるニオイ。
触れた事のある世界。
壊した事のある世界。
見たことのあるモノばかりがある。

エウリアは痛む頭を抑える。
——————な、何かが・・・・ボクの中にある・・・・。

渦巻いてくる。
湧き上がってくる。
取り込まれてくる。
痛んでくる。
残酷に快感がある。
黒に喜びがある。
血の臭いが嗅ぎたい。
壊したい。
飲み込みたい。

何故か薄ら笑いが止まらない。
白髪の前髪で隠れた片目が今から見える世界を見たいと痛んでいる。
その目を押さえ、エウリアは思う。
——————滅界へ帰ったら・・・・前髪を切ろうかな・・・。



血塗れで、傷もぐれ、骨折している腕や足を晒し、ノアは倒れていた。それを目撃したのが生き残った村人やコネンドだった。
コネンドに抱き起こされ、ノアは薄く呼吸をしていた。
シャク達はそんな状態のノアを見て、心を痛ました。現状を見たヒルダも思わず目を背ける。
「ノア・・・」
とシャク。
「こりゃァ、酷ぇーな・・おい・・・」
ギルティは顔を引き攣らせて呟いた。
ラヅはノアに寄り添い、エルガから学んだ回復魔法を施していたが悲しい顔をして首を横に振った。
「すまぬ・・・」
「そんなっ!」
レイアが口元に両手を当て、涙を流し始めた。
「ヒカル君、何とかできないの!?」
彼女に問い掛けられ、ヒカルは首を横に振った。
「俺は魔法使いで僧侶じゃない。回復魔法は詠唱できない。」
「そんな・・・・」
「ミーシアさんは!!チルノさんは!!」
とシャクがコネンドに問い掛けた。
ラヅと同じくエルガに回復魔法を習った彼女ならノアの傷を若しかしたら、癒せるかもしれないと思ったからであろう。
しかし、彼は首を横に振った。
「ミーシアさんもチルノさんも居なかった。・・・・恐らく、彼女達を逃がす為に時間稼ぎをした結果がこれだろう。」
「っ!」
全員が拳を握り締めた刹那。
ノアの唇が動いた。
「・・・あ、あの・・・馬鹿・・自、警団・・・野・・・郎・・は・・」
「ノア!!」
「喋ってはいけない!」
口を必死に動かそうとする青年にコネンドが叫ぶ。
しかし、彼は止めない。
「あ、の・・・馬鹿・・・・自・・警・・団・・野・・郎は・・・どこに・・・居る・・・」
「此処に居る。」
ヒルダは相変わらずの鋭い視線で死にそうでも尚生意気な青年を睨む。
ノアは彼を認めるや否や、声を張り上げた。
「貴・・様に・・・言いたくは・・無い・・・が・・・言いたい・・・事が・・あ・・る・・」
「何だ?手短に頼む。俺ァ村復興の計画を立てるのに忙しいからな。」
そんな大嫌いなヒルダに涙を流し、睨んでノアは言った。
「これ以上・・・ミーシア・・を・・・・悲しま・・・せ・・ないで・・・くれ・・・」
「っ!」
「ミーシアは・・・兄である・・俺より・・も・・・誰よ・・りも・・お前の事を・・・愛している・・・なのに・・・お前は・・・・ゴホゴホっ!」
「ノア!」
コネンドが心配そうに名を叫ぶ。
しかし、青年は続けた。
「なのに・・・お前は・・・ミーシアを・・・ど・・・こまでも・・・突き放す・・・・・・・・・・全く・・どこまで・・も最低な男・・・だ・・・・」
そんな青年を眺め、ヒルダは言い放った。
「テメェーに言われたくねぇーよ。・・・・命よりも大切な妹を放ってあの世に行っちまうなんざァ最低な兄貴だな。」
ノアは弱々しく、力無げに彼を睨んだが、しかし、青年は少し安堵な表情を顔に広げた。
そして——————最期の言葉を吐く。
「だけど・・な・・・テメェーが・・・生きて・・たのが・・・・・何故だか・・・嬉しい・・・・」
「なっ!」
ヒルダは驚いた表情をした。
そんな彼を見、ノアは続ける。
「・・・母さんも・・・父さんも・・・魔物に殺され・・て・・・おまけに・・俺までミーシアの・・前・・か・・ら消えちまう・・・」
言いながらノアは荒い呼吸を繰り返す。
「あれだけ・・・の・・魔物の・・・攻撃を・・・繰り・・抜けて・・・・生きている・・なんてな・・・・・丈夫だな・・・」
「何を言ってやがる!」
「それ・・だ・・・け・・・丈夫だ・・・ったら・・・安心して・・・・あの世に行け・・・る・・ぜ・・・」
「はっ!?」
「だから・・・な・・・・ミーシアを・・・頼みたくは・・・ないが・・・・・ゴホゴホっ!」
青年は口から血を吐き、咽る。
「ノアっ!」
シャクは涙を堪えながら共に旅をした仲間の名を叫んだ。
妹想いの馬鹿な兄貴は落ち着くと、涙を流しながら続ける。
「ど・・・どうか・・・・・・・ヒ・・・ヒルダさ・・ん・・・・・妹の・・・ミーシアを・・・・頼む・・・・・・幸せにし・・・て・・・やって・・く・・・れ・・・・」
ノアは僅かに微笑を浮かべ事切れた。
シャク達はそんな彼を——————必死に最愛の妹を守り続けた兄を見て、涙を流した。
「ノアァァァァァァァっ!」
ヒルダは死んだミーシアの兄を一瞥し、悔しさに拳を握り締め、唇を噛んでそっぽを向いた。そして、呟く。
「あんな重荷を俺に預けるたァな・・・つくづく腹が立つ奴だ。」
そう言う彼の体は少し震えていた。


又、大切な人を失った。

何かを守る事がこれ程までに難しいとは思ってもみなかった。


続く…。
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2015-01-19 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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