スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

異世界のイストワール  第9章~真実と復讐と旅立ち~  その5

 
~前回のあらすじ~
終に怒れ狂ったサリエルは父親を殺す計画を密かに立てていた自警団1番隊長に牙を向け斬り掛かる。しかし、大打撃を受け、彼は瀕死のダメージを負う。そこで青年は今まで共に暮らしていた、父親の形見の様な魔物少年に能力を発動させろと命令を下す。
そして今、少年の緋色のフードが脱がれようとしている。

以下は続きです。
 

 
*「どこにエウリアが居るかが問題なのだ。」
此処は人間界————————。
滅神王ヘンリは空中に浮遊した状態のまま呟いた。
それを聞いて白衣を纏った大悪魔神官アプフェルは笑う。
「そうかなァ~?すぐに見つかると思うけどね。」
「そうだと良いのだがな。」
「それにしても、人間界・・・鬱陶しい程に綺麗だねぇ~・・・あんだけボクが大陸を制圧したってのに未だ綺麗な大陸があんじゃん。ちゃんと魔物達、仕事してんのかな?」
とアプフェルが笑顔のまま言う。
そんな神官にヘンリは目を半眼にして応じる。
「お前は言えないぞ。お前こそ、しっかり仕事をしていないのだからな。」
「えぇ~!それは酷いよ~!ボクはちゃんとヘンリんのお世話をしてるじゃないかァ~!イケズ~!」
当のヘンリは青筋を立てて怒鳴る。
「勝手に名前を変えるな!!“ヘンリん”とは何だ!“ヘンリん”とは!!俺はヘンリだ。」
「良いじゃん、ヘンリんで。その方が可愛いじゃん。」
「俺は可愛さなど求めていない!名前の正確さを求めているのだ。」
「何だよ、その名前の正確さって。てか、ヘンリんって、変な事に突っ込むよねぇ。ボクの発言に対して突っ込めば良いのに、自分の名前について怒ってるよ。本当に殺したくなる程可愛いね。」
「黙れ。良いから、エウリアを捜せ。」
「ほら、今度はそーやって怒らないし突っ込まない。面白くないよ、ヘンリん。」
「黙れっ!首にするぞ!」
ヘンリは横で五月蠅い大悪魔神官を睨み、怒鳴った。
しかし、当の大悪魔神官はニコニコ笑って返す。
「首ねぇ~・・・どうぞ御勝手に。ボクは首にするって脅されても怖くないよ。どうせ、ローちゃん様が引き取ってくれるからね。」
「あの馬鹿にも引き取ってもらえぬ様にしてやる!」
「出来るかなァ~?ヘンリーに。」
「出来るのだ!」
「出来ないね。」
「出来る!」
「出来ないよ。無理だね。」
「出来る!無理じゃない!」
「出来ないって。無理無理。」
「出来ない!じゃなくて、で、出来る!」
「あっ!今、出来ないって言った!!今、ヘンリー、出来ないって言った!ボクの勝ちだ!!」
「貴様ァっ!」
顔を赤くして怒鳴る魔王を軽く笑うと、アプフェルは紫色の目を鋭くした。
そして————————。
「どうやら、この遣り取りも最期になるかもしれないね。・・・・エウリア様のお目覚めだ。」
ヘンリも眼鏡を押し上げると不適に笑った。
「その様だな。」
「迎えに行く?」
「勿論。わがままで気ままで、機嫌を損ねては危ない大切な弟だからな。」
滅神王次男の言葉にアプフェルはにやりと嫌な笑みを浮かべた。



少年は緋色のローブのフードを外した。
少年の白髪と心持紫色の肌が露になる。
そして、彼の後頭部分からは8本の色とりどりの蛇達が顔を出す。
赤、青、黄、紫、緑、水、黒、白の蛇達が牙を光らせる。
サリエルは血を吐きながら不適に笑う。
「フフ・・・」
ノラマは血塗れで瀕死状態のサリエルを悲しい片目で見つめている。
そんな彼を遠目で見て、シャク達は驚愕に駆られる。
——————あ、あれが・・・ノラマの正体!!
「な、何なのっ!?蛇!?」
レイアは目を見開いて叫ぶ。
ヒカルも驚いて声を出せないでいる。
自警団達もそうであったのだろう。
「あ、あれが奴の正体かっ!何とおぞましい!」
とアーノルド。
だが、そんな奴等を無視しヴェロニカは少年を見つめ、サリエルに問い掛ける。
「サ、サリエルさん・・・本当にノラマの能力を・・・解放して良かったんですか?」
「あァ・・・あれで良い・・・」
とサリエル。
フードを取ったノラマはサリエルの顔を覗き込む。
「サリエル兄さン、兄さンの傷を治して良イ?」
と少年は尋ね、緑色の蛇をサリエルの近くへと向かわす。
当のサリエルは頷き、不適に哂う。
すぐさま、ノラマの命令で緑色の蛇はサリエルの腕へ噛み付き、次第に彼の傷を癒していった。

そんな彼等を遠くで眺め、レイアが震えながら言った。
「へ、蛇が・・・サリエルさんの腕に噛み付いてる!!殺す気なんじゃないの!!」
「いや、違う・・・・傷を癒してるんだ。」
ヒカルは目を細め、呟いた。
シャクも彼と同じ事を思う。
自警団達も村人達も驚愕している。
初めて見たあの少年の能力。
皆、言葉が出せない。

傷を治しきった緑色の蛇はサリエルの腕から離れた。そんな蛇の頭を優しく撫で、ノラマはサリエルに問い掛ける。
「サリエル兄さン・・・ボクは今から村全体を破壊すれば良いノ?」
「そうだ・・・」
ノラマは兄の様に慕っている男の言葉を聞き、村全体を眺める。
その時、紅梅色のポニーテールをしているラヅが立ち上がり、サリエルに言う。
「サリエル!ノラマの能力を使うな!!何が起こるか知れたものではない!危険過ぎる!それはお前が一番分かってるだろうが!」
しかし、青年は哂い返す。
「分かってるからやるんだろうが・・・・・・面白ぇ劇が見れるぜ。」
「心の底から言っているのか?」
「あァ・・・珍しいパーティーじゃねぇーか。」
「お前っ・・・・!」
「ノラマ。」
そこへギルティの声が掛かる。
その声に少年は声の方を向く。
「なァーに?ギルティ。」
青い着物の青年は歩いて来るとノラマに言った。
「魔物の能力は使うな。死ぬぞ。」
「でモ、ボクは魔物でしょウ?死なないヨ。」
「だけど、お前はエルガや俺等と一緒に居た時間が長ぇーから人間に近ぇ。だから、魔物の能力を上手くコントロール出来ねぇーっつって言ってんだよ。」
「こんとろーる?」
「あァ。お前は未だ魔物としては未熟なんだよ。だから、魔物の能力に飲み込まれるぜって・・・」
「それは無いな。」
青年の注意に頭上から反論があった。
ギルティは聞いた事の無い声を聞き、腰の刀の柄を握り、頭を上げた。
シャク達も村人全員が頭上を仰ぐ。
時が止まる。
頭上には影が二つ。
その影はニルバーナの村中央に舞い降りると、蛇を生やしている少年を見つめた。
ギルティはノラマを守る様に前へ立つ。
サリエルとヴェロニカもノラマを庇う様な体勢を取る。

一方、舞い降りてきた影達を凝視し、シャク達は固まる。
「も、もしかして・・・あん時の・・・」
とシャク。
そんな勇者を見て、レイアが問う。
「シャク、アンタ知ってんの!?」
「いや、俺だけじゃない、ヒカルも知ってるだろ?」
シャクの問い掛けに賢者も頷く。
「あァ・・・スピアッジャの浜町に居た時、向こうの大陸を一瞬で制圧した連中だろう?覚えてるさ。」
「何・・・それ・・・?」
「雅か・・・その魔王が俺等の前に現れるとはな・・・」
「ま、魔王なの!?」
レイアはシャクの静かな物言いに驚愕する。
「魔王だ、アイツが。恐らく、あの横に居る白衣を着た奴が部下だろうな。」
「シャク、どうすんのよ!」
「どうすんのって・・・戦うしかねぇーだろ・・・」
「戦うって言うの!?」
「あァ・・・此処で戦るしかねぇ・・」
「はっ!?」
「待て、シャク。」
止めたのは魔法使いのヒカルだった。
「今の俺等じゃ到底敵わない。分かってるだろ?」
「でも・・・」
シャクは唇を噛み、拳を握り締めた。
「シャクが戦いたいの分かる・・・だけどな、勇者だって時には・・・」
「でもな、俺は“勇者”って選ばれた身なんだ。・・・魔王が目の前に居んのにこのまま見過ごすなんて事は出来ねぇーよ。」
「シャク・・・」
勇者は鋭い目を魔王へ向けて、二呼吸程後に仲間達二人へ言い放った。
「隙を突いて戦う。」
そんな彼の言葉を聞いて、二人は返す言葉が無かった。


「エウリア、帰るぞ。ほら、兄さんが迎えに来てやったのだから。」
白髪で、薄い紫色の肌をし、眼鏡をかけ、黒いスーツを纏っている赤目の男は少年に言い放った。
蛇を生やした少年は後退る。
そんな少年を見て、ギルティは鼻で笑う。
「おいおい、ノラマは“テメェーなんか知らねぇーよ”って顔してんぞ。つーか、怖がってるんですけどねぇ。ウチの子が怖がってるんですけどねぇ。」
アプフェルは白衣の両ポケットに両手を突っ込んできょとんとした顔をした。
「あれれ?可笑しいなァ~・・・君はヘンリーの弟なのにねぇ。・・・・しかも、この子の名前、“ノラマ”だってさ。」
ヘンリは不機嫌そうな顔をして、白髪の少年に一歩歩み寄った。
「俺は滅神王次男のヘンリ、お前・・・エウリアの実の兄だ。覚えていないのか?」
「兄さン・・・・?えうりあ・・・?」
とノラマ。
「そうだ。」
しかし、少年は首を横に振る。
「ボクの名前は“えうりあ”じゃないヨ。“ノラマ”だヨ。」
戸惑った様に口にする少年を眺め、ヘンリの目が光る。
———————記憶が無い。これは予想外であるし、絶好のチャンス!エウリアに記憶が無いのであればコントロールなど簡単!・・・・だが、油断は禁物だな。
「いいや、お前の名前は“滅神王エウリア”なのだ。俺等の一番下の一番言う事をよく聞く賢い大切な弟なのだ。つまり、お前は俺等、滅神王は三兄弟のうちの一人なのだ。」
「そうそう、お団子さんみたいに三兄弟!・・・痛っ!」
ふざけて言うアプフェルの頭をヘンリは叩き、続ける。
「だから、俺は大切な弟を迎えに来たのだ。再び、共に楽しく暮らす為に!さァ、汚い人間界から俺等が住んでいる美しい滅界へ共に帰るのだ。」
魔王の言葉に少年は一歩退く。
そして、鋭い目を向けているサリエルへ抱きつき、
「ボクの兄さンはサリエル兄さンだけだヨ!貴方達はボクの兄さンじゃなイ!!」
と言い放った。
ギルティはにやりと厭らしい目をすると笑う。
「ぷぷ、不審者扱いされてんの。だっせェ~!」
ヘンリは顔色を変える。
そんな主を眺め、アプフェルは笑って言う。
「ヘンリー、どうやら人間界に居過ぎて記憶が無いどころか、新たな思い出みたいなのを作っちゃったみたいだよ。・・・・こりゃァ、絶好のチャンスと言えば、絶好のチャンスだけど・・・・これじゃァ、魔界側にエウリアちゃんをつかせるのは難しいね。」
「その様だな・・・・」
ヘンリは眼鏡を人差し指で押し上げ、思案する。
———————エウリアの戦いの記憶を呼び覚ませば、俺等がこいつをコントロールする術が無くなる。だが、このままだと、あの“サリエル”とか言う人間が邪魔になってエウリアが俺等の手の中に大人しく納まらない。さて、どうしたものか・・・。記憶が無いのであるから、エウリアをこのまま放って置くのも悪くは無い。しかし、勇者を倒すのにコイツが必要だ。そして、この“サリエル”とか言う人間や他の人間どもと共に居る時に、魔物の襲撃の影響で能力が覚醒してもらっても困る。あの冷酷な性格が戻れば、あの生まれた時と同じ様な大戦争が生じる。それで勇者や神が、人間どもが滅ぶのは良い。だが、俺等にまで影響があるかもしれない。こいつは仲間の魔族であっても生みの親であっても容赦無く牙を向け、食って掛かってくる性格を持っている・・・俺等が全滅させられないとは限らない。となると、今一番、エウリアをコントロール出来るのは・・・あの黒紫色の髪の人間しか居ない。だから、エウリアの冷酷な性格を引き出すこと無く、エウリアを手に入れるには、この人間を上手く利用する必要がある・・・だから、ある程度、この人間の言う事を聞かなければならないのか・・・・っ!魔王としては一生の不覚っ。こんな人間の言う事を聞かねばならいとはっ・・・!
「あの~、ヘンリー~・・・刺されてるんですけど。」
アプフェルが魔王の腹を見ながら言った。
ヘンリは自分の腹に矢が突き刺さっているのをきょとんとした目で見て、アプフェルに言い放った。
「おい、部下と言う者は主の命を守るものであろう?」
「そうなの?てか、考えに没頭し過ぎなんじゃないの?」
ヘンリは盛大な溜息を吐いて、矢を抜いた。そして、血が滴るのを無視し、矢を放ったであろう人間の方を向く。
魔王の視線の先にはアーノルド。
彼は睨んで立っている。
そんな人間を一瞥し、ヘンリは黒紫色の青年に尋ねる。
「おい、人間。今、お前が怨んでいる輩はこの村の中に存在するか?」
少年の兄と名乗る魔族の問いに、サリエルは妖艶な笑みを浮かべる。
「俺が怨んでいる輩・・・・?」
「そうだ。」
サリエルは不気味に笑い始める。
そんな不思議な青年を怪訝そうな顔をしてヘンリは見る。
「何がそんなに可笑しいのだ?」
「何が可笑しいかって?決まってんだろ。」
「?」
サリエルは笑い声を収めると、氷の様に冷たい笑みを浮かべた。
そして———————。
「テメェー等の考えてに敢えて乗ってやろうじゃないか。・・・・面白ェ。」
彼の言葉にヘンリは目を見開く。
——————こいつ・・・俺の考えを見破ったとでも言うのかっ・・?
「サリエル、一体何を考えている!!」
ラヅが警戒しながら黒い着物に大量の血を染み付かせた青年に叫んだ。
しかし、彼は無視を貫いた。


一方、ヒルダはミーシアに傷を癒してもらい、何とか一命を取り留めた。
とそこへ、ノアがやって来る。
「ミーシア!!」
「ノア兄さん!」
ノアはヒルダを見下すと怒鳴り散らす。
「貴様!!ミーシアに回復魔法を唱えさせやがって!!」
「ノア兄さん!」
殴り掛かる勢いで言う兄を妹は必死に止め、怒鳴り返した。
「ノア兄さん!何て事言うの!」
「ミーシア・・・」
「ノア兄さんはいつもいつもヒルダさんを悪く言うわ!それもうんざりよ!」
「お、俺は・・・唯・・・」
「ヒルダさんはノア兄さんが思う程悪い人なんかじゃないの!とっても良い人なの!優しくて、逞しくて・・・」
「ミーシア・・・」
「だから、私はヒルダさんの事を・・・・なのに、ノア兄さんは・・・!」
「ミーシア、もう良い。止めろ。」
涙を流しながら言う彼女をヒルダは止めた。
「ヒルダさん・・・」
「俺等の事は良い。・・・・それより、ニルバーナから早く逃げろ。此処は危険だ。今までに無い程壮絶な戦場になる。」
「ヒルダさん・・・」
「だから、逃げろ。今度こそ、この村も御仕舞いかもしんねぇ・・・」
彼の言葉にコネンドとオルバも頷く。そんな彼等を見てノアもミーシアも驚く。
しかし、彼女が驚いたのは一瞬だった。
忽ち、口を開く。
「それでも私はヒルダさん達と戦います!一緒に!」
「なっ!」
「ミーシアさん、それは駄目ですよ。俺が許しません。危険過ぎる。それに、ヒルは貴女を死なせたくないんだ。だから・・・」
コネンドは必死に彼女を止める。がしかし、彼女は下がらない。
「ヒルダさんと一緒なら死なんて怖くありません。寧ろ、ヒルダさんと死ねるなら本望。」
「!」
彼女は言い放つと、持っていた深緑色の布をヒルダに手渡した。
「これは、私が回復魔力を注ぎ込んで創ったマントです。これを纏っていれば、受けた傷は少し癒せます。」
ヒルダは彼女からマントを受け取ったが、俯いた。
「ヒルダさん・・・?」
当の彼は俯き、呟いた。
「・・・俺ァ、女なんかを護りながら戦うのは趣味じゃねぇーんだ。」
「護らなくても良いです!私は・・・」
「木の棒持って魔物と戦う事ができねぇー奴は邪魔だ。良いから、黙って口やかましい馬鹿兄貴と逃げろ。いい加減鬱陶しい。」
「ヒルダさん・・・・・・私は・・・・・うっ!」
深緑色の髪をした男の言葉にノアは妹の首筋を叩き、気絶させた。倒れた妹を抱きかかえ、ノアは言う。
「・・・・・アンタは最期までそんなうざい態度を取るんだな。」
「お前もな。」
「だから、俺はアンタが嫌いだ。」
ヒルダは不適に哂うと言い返す。
「俺もお前は嫌いだ。」
「・・・・・ミーシアの意識が戻る前に早く死ね。」
茶髪の青年の言葉にヒルダは立ち上がりながら、応じる。
「あァ、俺もそれを望んでいる。そんな人に心配ばかりかける女に好かれるくらいなら死んだ方がマシだ。」
「・・・っ・・・馬鹿がっ・・・・!」
ノアは悔しさに唇を噛むと気絶させた妹を抱きかかえ去って行った。
そんな兄妹を横目で眺め、ヒルダは思う。
———————俺が死ぬ分、あいつが長く生き残れさえすりゃァそれで良い。


黒紫色の髪の青年は返り血を浴びた顔で哂いながら、魔王達に向かって言った。
「テメェー等から見て、俺が怨んでそうな連中を殺ってみろよ。」
「なっ!」
魔王を含め全員が驚愕する。
「それが出来たら・・・・“よしよし”だな・・・・」
とサリエル。
魔王は拳を握り締めている。そんな主を見て、アプフェルはサリエルへ突進し、青年の首元へ尖った爪を当てる。
そして———————。
「君、あんまし調子に乗ってると殺っちゃうよ。」
と笑顔で言い放つ。
しかし、当の彼は動揺さえみせない。哂っているだけ。
それをヘンリは慌てて止める。
「アプフェル!!すぐに止めるのだ!その人間を殺してはならない!俺が許さない!」
大悪魔神官は魔王に笑顔を向けて応じる。
「珍しいねぇ、ヘンリーが殺るのを止めるなんて。何かこの人間にあったの?・・・・もしかして、好きになっちゃったりした?」
「馬鹿を言え!!殺されたいのか?」
とヘンリが怒号を上げる。
アプフェルはサリエルに鋭い爪を当てたまま、笑顔で我が主の怒りを宥める。
「冗談、冗談。そんなに怒らないでよ。もう、ヘンリーったら相変わらず冗談通じないねぇ。これだから、皆怖がるんだよ。その性格直したら?」
「大きなお世話だ。」
滅神王は眼鏡を押し上げると冷静に言い放った。
「絶対にその人間を殺してはならない。・・・・・・・・・今まで俺はお前のどんな悪戯にも付き合ってきたが・・・今回は怒るだけでは済まさない。本当に死んでもらう。よく肝に銘じておけ。」
「はいはァ~い。」
大悪魔神官アプフェルは笑うと、サリエルから爪を収めた。
そして、謝罪する。
「ごめんねぇ、不思議な人間君。どうしても、ヘンリーが駄目って言うからさ。」
「良いって事よ・・・」
とサリエル。
やはり動じない人間を笑って眺め、アプフェルは呟く。
「それにしても、君凄いねぇ~・・・ボクに殺されるかもしれないのに動じないなんて!今度、一戦交えない?君と殺ってみたい。」
「気が向いたらな・・・」
「うん、待ってるよ。」
アプフェルは微笑むと魔王の横へ戻った。
それを見、サリエルは口を開く。
「さァ、俺が望んでいる結末を見せてくれ。」
その言葉を合図に魔王達は厭らしい笑みを浮かべる。

そう、これが————これこそが向日葵が散った代償なのだ。


続く…。
 

スポンサーサイト

2015-01-07 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

アクセスカウンター

本棚

【異世界のイストワールⅠ】
プロローグ
1章2章3章4章5章
6章7章8章9章

~番外編~
Happy Halloween !! . 2014

---------------------------------
【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


★*:;;;;;:*★*:;;;;;:*★*:;;;;;:*★
ウィンドウは新規で開きます。

月別アーカイブ

12  11  03  02  01  12  11  10  10  01 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。