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異世界のイストワール  第8章~向日葵が散る時~  その2

 
~前回のあらすじ~
エルガの家でヴェロニカはシャク達にノラマ保護の依頼をする。勇者に魔物を守らせるのも不思議なことではあるが、シャクは快く受け入れる。理由は簡単だった。
———————危害の無い魔物は殺す必要は無い。
そして、次の日。

以下は続きです。
 

 
*朝。
小鳥達が囀り、太陽が気まぐれな青空に向かって笑っている。
シャクはベットから身を起こし、欠伸をする。昨日のヒルダとの稽古が想いの外きつかったのだ。所々が筋肉痛とやらで痛い。しかし、その痛さのおかげで彼は少しレベルアップをしたらしかった。それは自分だからこそ分かる事だ。
シャクは伸びをすると、ベットの布団を綺麗に整え、チルノが用意してくれている白いシャツと布のズボンに着替えた。
部屋を出て、2階の洗面所へと向かい、顔を洗う。
そして、彼は皆が集まる居間へと階段を下りて行く。

「おはようございます。」
「おはよう、シャク君。」
笑顔でエルガが迎える。
当の彼はチルノと一緒に朝御飯を作っている。
「おはようございます、シャクさん。」
とチルノも言う。
「おはようございます。」
「良く眠れたかい?」
「あ、はい。」
「椅子に座ってて良いよ。すぐにお茶を出すから。」
「あ、すみません・・・」
「ううん、君はお客様だからね。」
「あは・・・」
微笑む艶やかな着物を纏った村長にシャクは苦笑を返した。
居間にはエルガとチルノ以外は誰も居なかった。
「・・・皆さんは、未だ寝られているんですか?」
「ううん。ラヅとヴェロニカとレイアさんは村の外で稽古。サリエルとノラマは散歩に行ったよ。ギルティは夢の中だけど。」
シャクは苦笑した。
エルガは微笑むとシャクが居る食卓にお茶とサラダを持って来た。
「ありがとうございます・・・」
と返す青年にエルガは優しい表情をし、言葉を紡ぐ。
「昨日はありがとう、シャク君。」
「エルガさん・・・」
エルガは椅子に座ると、コーヒーを一口飲んだ。
「ノラマを守るって言ってくれて・・」
「い、いえ・・そんな・・・」
シャクの言葉にエルガはコーヒーに砂糖を入れ、混ぜた。
「彼は・・・ノラマは凄く人見知りでね、心を開かせるのに苦労したものだよ。石化から解放してあげた時には生まれたての子みたいで・・・初々しかったね。ほら、雛みたいに。」
「そうだったんですか・・・」
「うん。・・・僕もヴェロニカと同じで、ノラマを守ってあげて欲しいんだ。そして、もし、ノラマが間違った方向に行った時は彼を止めて欲しい。僕はノラマがあのまま良い子で居て欲しいからさ。・・・恐らく、彼は魔族達の兵器として創られたんだと思うんだ。だからさ・・・・」
「エルガさん・・・・」
村長は似合わない悲しそうな顔をして続ける。
「ごめんね、シャク君・・・」
「?」
「ノラマの事を嗅ぎ回っている自警団の隊に入っている君に・・・ノラマを守ってなんか依頼しちゃって・・・」
「そんな事は・・・」
「苦しい立場に君を追いやってしまったのが本当に申し訳なくて・・・」
「気にしないで下さいよ、エルガさん。」
「でも・・・」
「それより、今日、俺、自警団の仕事休みですから、稽古つけて下さい。丸一日稽古出来るんですから!」
シャクは笑顔をエルガに向ける。
「強くならないといけないからさ!」
「シャク君・・・」
元気良く言って、サラダを食べる青年にエルガは和まされ、顔に向日葵を咲かせた。
「そうだね。それじゃぁ、稽古しよっか。」
村長は言うと、立ち上がった。



ヒルダはいつもの様に自警団制服を纏い、何やら紙袋を手に持ち歩いている。
彼が向かう先は一軒の家。
玄関前で彼は溜息をついた。
——————アイツには・・あの馬鹿兄には会いたくねぇーが・・・仕方無ぇ・・・。
ヒルダは玄関の扉を叩いた。
中からくぐもった女性の声がした。
少しして玄関の扉が開かれる。
出て来たのはミーシアの母親であるマロアだった。
彼女は茶色の短い髪を背中へ流し、エプロンをしていた。
「あ、どうも・・・・」
とヒルダ。
マロアはヒルダを見るや否や驚いた。
「まぁ!これはヒルダさんじゃないですか!一体どうしたんですか?ノアが何かしましたか?」
「い、いや・・・(会う度にいつもされてるがなっ!)」
「それなら良かったですわ!」
彼女は胸を撫で下ろすと再び口を開いた。
「それで・・・何の御用でしょうか?」
ヒルダはミーシアの母親から目を少し逸らし、手にしている紙袋を差し出した。
「こ、これは・・・?」
「風邪薬だ。御宅の娘さん、風邪引いてるんでしょう?これを飲んで・・・」
「まぁっ!」
マロアはヒルダの手ごと握ると、目を輝かせた。
「ミーシアも喜ぶわっ!こんな立派な方がお見舞いに来て下さったのですから!」
「い、いや・・あの・・」
「どうぞ、中に上がって下さい!今、あの子なら居間に居ますから!」
「い・・・」
ヒルダは強引にもマロアに連れ込まれた。

短い廊下を歩いて居間へと辿り着く。
質素な風景だった。
食卓には食べかけの食事が置いてあった。
ミーシアの居る居間へとヒルダを案内したマロアは首を傾げる。
「あら?どこに行ったのかしら・・・?さっきまで居たのに・・・・」
「居ないんでしたら良いっすよ。俺、仕事があるんで・・・」
「そうですよね・・・・」
とその時。
別室からガタガタと言う音が聞こえてきた。
誰かが機織でもしている様だ。
「ミーシアだわ!」
マロアはヒルダの手を引いて、音のする方へ向かった。

案の定、そこで機を織っていたのはミーシアだった。
「ミーシアっ!一体、何をしているの?ちゃんと食事しないと・・・」
部屋に入って来た母親に見向きもせず、機織をする彼女は熱が未だ下がっていない様に思われた。
顔は赤く、だるそうに手を動かしている。
「お母さん・・・私はどうしてもこのマントを作らなきゃ・・・」
「でも、ミーシア。貴女は未だ熱が・・・」
「おい。風邪引いてるテメェーが何織ってんだよ?」
ヒルダの声にミーシアは驚いた様に固まった。
そして、彼を見る。
「ヒルダさん・・・」
「貴女の為に態々、風邪薬を持って来て下さったのよ。」
「風邪薬・・・」
「ほら、お礼を言わなきゃ駄目でしょ?」
母親の言葉にミーシアは微笑む。
「ヒルダさん・・・どうもありがとう。」
そう微笑む彼女の笑みは偽物だった。
そんな偽物の笑いを浮かべた彼女にヒルダは言葉を投げ掛ける。
「見舞いで態々、此処へ来たわけじゃねぇ。」
「?」
「・・・何だか知らねぇーが・・・薬草を摘みに村を出たり、傷薬を買いに出掛けたり、回復魔法を習ったりしてるらしいな。」
「そ、それは・・・」
「何でお前はそこまで自分を追い詰める?それも・・・俺等の為に・・・」
「・・・・」
黙る娘を見て、マロアは部屋からそっと出て行った。
部屋の中に二人だけになった。
ヒルダの問い掛けにミーシアは黙るばかりだった。
彼女自身、彼に伝えたいことは山程ある。
しかし、伝えられない。
黙る彼女を見て、ヒルダはそっぽを向いて口を開いた。
「俺は・・・見たくねぇーんだよ・・・」
「!」
「・・・俺は・・・見たくねぇーんだよ・・・お前が危険を犯すのを・・・」
「それは私もです!」
「!」
「私だって・・・ヒルダさんが危険を犯すのを見たくありません!・・・村を救う為とは言え、魔物達と戦って・・・血塗れになって・・・眠れぬ夜を明かして・・・そんなの・・・そんなの・・・」
「お前には関係無い事だろ。」
「関係あります!」
「何所にだよ?」
透かさず彼は彼女に問う。
ヒルダの問いに彼女は再び沈黙した。
俯き、そのまま突っ立っている。
ヒルダはそんな彼女を一瞥して言う。
「お前は・・・この村の中で笑って居さえすりゃ良い。俺がその笑顔を守ってやっからよ。」
男の言葉にミーシアは顔を上げた。
ヒルダの横顔を彼女はいつまでも見つめた。
三呼吸程後。
そして、やっとのことで言葉を投げ掛ける。
「私だって・・・ヒルダさんの笑顔を守りたいです・・・」
「それじゃァ、お前がずっと笑って居さえすりゃァ簡単だ。それで十分だ。」
「・・・・」
「男を笑顔にさせるたァ、それが手っ取り早い。・・・・・分かったら、飯食って寝てろ。今度、お前がそんな事してたら殴り込みに行くからな。」
ヒルダは溜息をつき、部屋を出て行こうとする。
そんな彼に向かってミーシアが口を開く。
「分かりました。」
彼女の返事を聞くと、ヒルダは部屋を出て行った。



今日も又監視されている。
サリエルは周囲を警戒し、ノラマの食事を見守る。
——————今日は二人か・・・殊勝なこったァ・・・。
食事を終えたノラマはフードを被り、倒れた木の上に座っているサリエルを振り返って微笑んだ。
「サリエル兄さン、ありがとウ。」
「あぁ・・・お前の為なら何でもしてやるよ。」
「ふふふ。」
「フン。」
お互い笑い合う。
唯、傍からすれば仲の良い兄弟の様に見える。良い絵になる。
ノラマは可愛らしい笑み浮かべ、空を見上げる。
「空・・・いつもと変わらないネ。」
「あぁ・・・」
———————ノラマの知らねぇとこで色々と変わり始めてるんだがな・・・。
サリエルはふとそんな事を思いながら立ち上がった。
「帰るか。」
「うン!」
ノラマはサリエルにくっ付く様な程の近さで歩き始めた。



中庭。
黒い薔薇が踊っている様な刀捌き。
シャクはエルガの刀を回避しながら思った。
まるで演舞だ。
優雅な剣捌きに加え、打撃が大きい。
シャクはエルガの刀を鋼の剣で受け止め、弾き返した。
——————凄い・・・としか言い様が無い・・・。
「中々、良い腕をしてるね。やっぱり、自警団に入って正解だったね。」
エルガは笑う。
「そ、そうっすか?」
「うん。逞しくなったって感じがするね。今度、ギルティ達と一戦交えてみたら良いよ。」
村長は言うと刀の柄を強く握った。そして、続ける。
「もっと強くなったら、シャク君に僕の刀の秘密を教えてあげるよ。それまでは、僕も刀の能力を使わないからさ。」
「は、はぁ・・・・」
「それじゃぁ、もう何回かやろっか!!」
シャクは頷くと、村長に向かって駆けて行った。

——————強くなる為に。
——————守る為に。



「カルトス君~!!青い薔薇のお庭のお手入れ手伝ってぇ~!!」
滅神王ローレライは大悪魔神官カルコスの部屋の扉を叩きながら叫んだ。鍵が掛かっている為、部屋に入れないからだ。
「お願いよぉ~!」
扉の向こう側から聞こえる馬鹿魔王の声を聞きながら、当のカルコスは青筋を立て、叫び返す。
「黙れ!独りでやれ、馬ァー鹿。つーか、今それどころじゃねぇーだろ!!」
——————アホかあいつは。いや、アホを通り越してるな。
カルコスは滅神王三男エウリアの情報を探る為、あらゆる書類を探っている。
そんな部下の返しを聞いて、ローレライは不満顔をする。
「独りでやるのが寂しいから言ってるんでしょう?人の気持ち・・・じゃなかった、魔王の気持ち分かってよ。」
「分かりたくねぇーよ!ンな気持ち!」
「カルトス君ったら相変わらず酷いわねぇ~。でも、そこが良いのよね。」
カルコスは書類に目を通し、内心思う。
——————エウリア様か・・・あのお方を上手い具合にコントロールするのは至難の業だな。流石にあのヘンリ様でも無理がある。・・・此処はやはり、ヘンリ様よりかは部屋の外で喚き散らしている馬鹿の方がエウリア様の扱いは上手いか・・・・。
真剣な表情をして思案する。
とそこへ・・・。
「手伝ってよ、カルトス君。」
と背後から魔王の声がした。
驚きカルコスは飛び上がる。
「な、何で貴様が俺の部屋に居る!?鍵閉めてただろ!!」
怒鳴る部下にローレライは鍵を指で回しながら微笑んだ。
「私、常時マスターキーを持ってるのよ。」
「マ、マスターキーだとっ!?」
「えぇ。だから、何時だってカルトス君の部屋に入る事が出来るのよ。どう?参った?」
「参ったって言うよりか、怖いわ!ストーカーだろ、それ!!」
「ストーカーですって?いやぁ~ね、響き悪いじゃないの。」
「響きとかどーでも良いわ!」
「ねぇ~、お庭のお手入れ手伝ってよぉ~・・・暇でしょ?」
「暇なわけねぇーだろ!暇なのはお前だけだ!」
「そんな書類、後で良いじゃん!」
「よくねぇーよ!つーか、俺等魔族達の危機が迫るかもしんねぇーんだぞ!何、悠長に庭の手入れしてんだよ!打っ殺すぞ!」
「危機って、エウリアちゃんが帰ってくるかもしれないだけでしょ?」
「それが危機だって言うんだよ!いい加減ボケるの止めろ!」
怒号を上げるカルコスを見て、ローレライは盛大な溜息をつく。
「分かったわ。仕方無いわね。エウリアちゃんの事は私がちゃぁ~んと調べておいてあげるから、お庭のお手入れ手伝って。」
「誰が貴様に託すか。」
「上司命令よ。上☆司☆命☆令☆・・・魔王がしなくて良いって命令するんだから、良いでしょ?」
笑顔で言う魔王を半眼で眺め、カルコスは溜息を吐き出した。そして、舌打ち。
「・・・命令なら仕方無ぇ・・・逆らうワケにはいかねぇ・・・」
「そうそう。よし、お庭にレッっゴー!!☆」
ローレライは部下の腕を引っ張って、庭の方へ駆けて行った。


★ ★ ★ ★ ★

あれから約一週間が過ぎた。
その時の中でシャク達は成長した。
ラヅの透視振りも成長した。(いや、これはしなくて良い。)
そして、漸く、シャクとレイアはエルガ達と差はあるが対等に交えれる様にまで戦力を上げたのであった。
それと同時に、自警団達のノラマ監視調査は日に日に悪化していった。

そして———————。

もう一人、忘れてはならない人物が居た。

「フォーラルっ!」
呪文と共にフィールド内で業火が巻き上がった。
フォーラルとは初歩火属性魔法フォーユの発展系統の魔法である。
その炎は襲い来た魔物の群れを焼き尽くした。一瞬にして魔物どもは灰になる。
やや攻撃力が高そうな杖を片手に呪文書を持ち、落ち着いた青い色のローブを纏い、茶色の靴を履き、魔物の残骸を見る金髪の青年。
「此処まで魔力を高めると魔物も大した事ねぇーな。」
青年は吐き捨てる様に言うと、歩を進めた。
仲間の居る、ニルバーナの村に。


続く…。

※文章が簡素ですまん。
 

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2014-12-20 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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6章7章8章9章

~番外編~
Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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