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異世界のイストワール  第7章~ニルバーナの村~  その3

 
~前回のあらすじ~
ニルバーナの村を見回ったシャク達は自警団達とも知り合いになった。そして、その自警団2番隊長コネンドに薦められ、村長エルガに会いに行ったのであった。彼は村で一番尊敬され、愛されている愛想の良い男だった。そして、エルガの息子だと思われていたギルティは実は捨て子であった事実が発覚した。それから、エルガは過去話を語り始めた。
 
以下は続きです。
 

 
★★★★★

「インパラーレへ買い物をしに行ってくるよ。その間、サリエル、家で良い子にしててね。」
エルガは艶やかな着物を着て、幼い息子の目線に合わせ黒紫色の頭を撫でる。頭を撫でられ、サリエルと呼ばれた少年は少し寂しそうな顔をした。
「父さん、俺もついて行っちゃ駄目なの?」
「駄目。」
「どうして?」
「どうしても。」
サリエルは更に寂しそうな表情をして言う。
「早く帰って来る?」
「勿論。何せ、サリエルが家でお留守番してくれてるからね。」
息子の問いに答え、悪戯っぽい表情をして逆に問い掛ける。
「・・・・もしかして、寂しいの?」
父親の言葉にサリエルは顔を少し赤くして怒鳴った。
「んなワケねぇーよ!」
「そっか・・」
淡い紫色の髪をした父親は微笑む。
そして、玄関の扉を開ける。
「何かあったら自警団さんに言いに行くんだよ。」
「あ、あぁ・・・」
「良い子にしてるんだよ、サリエル。」
息子に言い、腰に刀を差した彼は家を出て、村を出た。



インパラーレへ行く道中は多くの魔物に襲われた。エルガは刀を振るい、魔物達を蹴散らしていく。そうして、森の中を進んで行く。そして、戦いが終わるとエルガは休憩を挟んだ。倒れた木に腰を下ろし、負った傷を回復魔法で癒す。
———————ふぅ~・・・最近の魔物はやっぱり強いねぇ・・・サリエルを連れて来てなくて良かったよ。
と、そんな呑気な事を思っていた時だった。
森の奥から少年の声と魔物の奇声が聞こえてきた。エルガは不審に思って音がする方へ歩を進めた。すると、森の広場の様な、空から太陽が森の中を覗き見できる様なぽっかり開いた場所で魔物と必死に戦っている少年を発見した。綺麗であっただろう淡い水色の髪は汚れて痛んでいて、着ている長く白い衣は破れて汚れ、血塗れだった。しかも、その少年は靴を履いていなかった。
そんなボロボロの少年は雄叫びを上げ、持っている木の棒で襲い掛かって来た魔物達と戦っていた。
エルガは木々の陰から少年を見つめていた。
——————7歳くらい・・・サリエルと同い年くらいか・・・それにしても大したもんだね。
悪魔の様な形相をし、血に飢えた様な殺気を体全体から放ち、果敢にも魔物達に挑んでいく。負けるかもしれない、殺されるかもしれないと言う恐怖すら感じていない。
少年は数匹の魔物達の攻撃を鮮やかに回避し、木の棒で魔物に打撃攻撃を食らわす。そして、木の棒を投げ捨て、長衣の懐からナイフを素早く取り出し、急所を突く。そうして、少年は一人で数匹の魔物を殺す。それでも、魔物達は圧倒的な少年の強さを目の前にしても怯まず、お構いなしに牙を向けて襲い掛かって来る。少年は舌打ちをすると、魔物達へと突っ込んで行った。このまま一息にナイフで全体攻撃を仕掛ける心算らしい。
しかし、そう簡単にはいかない。少年の背後から一体魔物が爪を振り翳して攻撃を仕掛けてきた。
——————っ!前方の魔物との距離は十分にある。それに、背後の馬鹿どもを始末する時間もたっぷりある!いける!
ボロボロの少年は思うと瞬時に振り向き、ナイフで攻撃を繰り出す。しかし、背後の魔物は少年のナイフを無視して少年の腕ごと素手で掴む。少年は予想外の魔物の動きに驚愕する。そんな少年の表情を見て魔物は哂う。

罠か!

少年は腕を魔物から引き離そうと必死に蹴りを食らわす。しかし、魔物は絶対に放さない。
——————くそっ!
少年の動きを封じた魔物は満足そうに哂った。先程、攻撃を仕掛け様として止めた魔物達が身動きが取れなくなった少年目掛けて鋭い武器を掲げて攻撃してきた。一体の魔物が猛毒を大量に塗りたくったサーベルを少年に突き刺し抜く。
「っ!」
少年の長衣を通して血が滲んでいく。幼い人間の身動きを奪っていた魔物は、彼を地面へと叩き付けた。
「ぐはっ!」
少年は地面に倒れ、痛みに耐える。全身に猛毒が回っているのを感じる。魔物達の喝采が聞こえる。
——————やばいね・・・。
エルガは険しい顔をすると、腰の刀の柄を握った。がしかし、地面に倒れた少年はゆっくりと立ち上がる。そして、血走った目で魔物達を睨む。悪魔の様な少年に魔物達は苛立ったのか奇声を上げ、鉄の棍棒を装備した魔物が少年の頭を殴った。少年はふらつき再び倒れる。だが、頭から血を流しながら再び立ち上がる。
エルガは驚いた。
——————凄い少年だ・・・だけど、あのままじゃ危ない。
しぶとい少年だと感じた魔物達は再び少年へと攻撃を加え様とする。
その時。
エルガは木々の間から飛び出した。そして、素早い攻撃を魔物達へ浴びせる。瞬時に魔物達の首が飛ぶ。
魔物との戦闘は一瞬だった。
一息ついてエルガは刀についた魔物の体液を払うと、腰に差した。そして、少年に向き直る。そんな見知らぬ人間を見て、少年は体力の限界でもあるにも関わらず、拳を構える。その少年に向かってエルガは言う。
「動かないで。猛毒に侵されているんだから。」
「放っておけよ・・・」
少年は吐き捨てる様に言い、血を吐く。
「放って置けないよ、死んでしまうから・・」
「良いじゃねぇーか・・・俺なんかが生きてたって意味はねぇーんだから・・・」
「意味あるよ。人間は意味があって生まれてくるもんなんだから。」
「フン、よく言うぜ・・・・」
「治させてほしい、君の<傷>を・・・」
「だから、放っておけよ!」
叫ぶ少年を見て、エルガは溜息をついた。そして、素早く少年へと近付き、少年の首筋を叩いた。



「何でこんな奴を拾って来たんだよ!」
「良いじゃないか。」
「良くねぇーよ!・・・てか、あんな奴が・・・」
そんな親子らしい声が聞こえる。目を開けてみる。温かみのある部屋。緑の長椅子に痛んだ淡い水色の髪をした少年は寝転がっていた。少年はゆっくりと身を起こす。そして、窓の外を見る。真っ暗だ。そんな少年に気付いて、艶やかな着物の男が駆け寄って来た。
「目、覚めたかい?」
その声に少年は駆け寄って来た淡い紫色の髪をした男を一瞥し、自分の体を見た。
さっきまで着ていた長衣は脱がされ、体には包帯が巻いてあった。おまけに頭にも包帯が。
「アンタがやったのか・・・?」
少年の問い掛けに艶やかな男は微笑んで頷いた。
「うん。毒素も無いでしょ?」
「・・・・」
言われてみれば無いし、負った傷も回復してある。
「気分は良い?」
「・・・まぁな・・・」
「お前!」
エルガの背後に居た、黒紫色の髪をし、白いシャツを着た少年が叫んだ。
「少しは・・・!」
「サリエル。病人さんなんだよ、大きな声を出さない。」
「でも!」
エルガはサリエルを抑えると、少年に向き直り、笑顔を向ける。
「この子は僕の息子のサリエル。君は?」
「アンタは?」
怪我をした少年の逆の問い掛けにエルガは一瞬目を点にして、豪快に笑い始めた。
「アハハハハハハハハっ!そうだったね、僕の名前を言ってなかったよ。僕はエルガ・ファレルレット。宜しく。」
「・・・・」
少年は目を半眼にして呆れた。
——————何かどっか抜けてるとこがある奴だな・・・。
「それで、君は?」
「・・・俺は・・・・・ギ・・」
そこまで言い掛けて少年は口を閉じた。
「・・・?」
「・・・俺は・・・・・名乗る程の・・・者じゃねぇーよ・・・・」
「そうかな?でも、僕は君の名前を知りたいな。」
「・・・・」
少年はエルガと名乗った男の言葉に盛大な溜息をついた。そして——————。
「・・・ギルティ・・・ギルティ・ヴァーイスデモン・・・」
「ギルティ・ギルティ・ヴァーイスデモン?」
「ギルティ・ヴァーイスデモンっ!“ギルティ”は2回言わなくて良いのっ!てか、そんな名前だったらしつこいわっ!」
「ごめんね、間違えたよ。」
「いや、間違えるとこねぇーと思うんですけどっ!」
ギルティと名乗った少年は突っ込んだ。そして、周囲を見回す。
「あ、此処は僕の家だよ。そして、此処はニルバーナの村。そして、僕はこの村の村長。」
村長の言葉に少し耳を傾けながら、ギルティは長椅子から降りる。
「何所に行くんだい?」
ギルティはエルガの問い掛けを無視し、大広間から出て行こうとして歩を止める。そして、振り返らずに言う。
「・・・・ありがとな・・助けてくれて・・・」
「どういたしまして。」
とエルガは微笑む。
「・・・じゃぁ・・・」
「何所に行くんだい?」
「・・・家に帰んだよ・・・」
ギルティは面倒そうに言い放つ。そうして、出て行こうとする少年に向かってエルガが声を掛けた。
「何を言ってるのかな?ギルティの家は此処じゃないか。」
その言葉に少年の足が止まった。
「君の家は此処だよ。ねぇ?サリエル。」
エルガは最愛の息子に同意を求めた。
当のサリエルは腕を組んでそっぽを向いている。
「・・・」
「・・・もう真っ暗、良い子は寝ないといけないよ。ほら、お風呂に入って、歯磨きして・・・」
と強引に言うエルガ。
そんな中、少年の肩が少し震えていた。拳を握り、震えている。
「と言うか、御飯が先だね。ギルティ、君のせいで晩御飯が遅くなったんだ。だから、食器洗いをしてよね。」
「勝手に仕事を押し付けてんじゃねェェェェェェェェェェっ!てか、晩御飯が遅くなった理由を俺のせいにするなァァァァァァァっ!テメェー等が食わねぇーのがいけねぇーんだろうがァっ!」
ギルティが急に振り返り叫んだ。
エルガは快活に笑う。そっぽを向いていたサリエルも少し微笑を浮かべた。

振り返った少年の頬には涙の足跡が見えた。

★★★★★

エルガは紅茶の中に砂糖を入れて飲み、シャク達を見た。
「・・・彼も又僕と同じ様な境遇だったらしい。生活が苦しくなったが為に両親はギルティを捨てた。だから、彼も僕と同様、両親を憎んで・・・」
「そうだったんですか・・・」
シャク達は気の毒そうな表情をした。
「当時の僕は26歳だったから、僕だけであの子達を育てるのは少し骨が折れそうだったけどね。いや、実際は折れてなんか無いよ!」
「奥さんとかいらっしゃらないんですか?」
とレイア。
彼女の質問にエルガ少し暗い顔をした。
「・・・うん。僕の妻のサーリアは・・・サリエルを産んで間も無くして亡くなったんだ。彼女は元々病弱で、サリエルを産む事さえ出来ない状態だったんだ。だけど、どうしても産みたいって・・・」
「ごめんなさい!エルガさん・・・思い出したくない事を訊ねてしまって・・・」
レイアは下を俯いた。
「良いよ。気にしないで。でも、サリエルには絶対内緒にしててほしい。あの子には未だ言って無い事だからね。」
「あ、はい。」
頷く青年達を見て、エルガは明るい顔をして訊ねた。
「・・・そう言えば、君達は宿屋に泊まるのかな?」
「あ、いや・・・別にそんな事は考えてな・・」
「だったら、今日は此処へ泊まって行きなよ。」
「でも・・・迷惑じゃ・・」
「そんな事はないよ。大家族みたいで楽しいよ、ねぇ?チルノ!」
エルガは召使のチルノへ笑顔を向けて問う。そんな彼女も又笑って頷く。
「サリエルも、ノラマも喜ぶよ。」
「?」
名前を聞いてぱっとしないシャク達は首を傾げた。
「あ、ごめん。サリエルって言う子が僕の息子で、ノラマって言う子がギルティの後に拾った少年。」
「は、はぁ・・・」
「今は二人共、外出してて居ないんだけど・・・」
その時、玄関の扉が開いた様な音がした。
「サリエルさんとノラマさんだ。」
とチルノは呟き玄関ヘ駆けて行った。
「おっと、帰って来たみたいだよ。」
エルガの言葉と同時に二人の男が大広間に入って来た。


続く…。
 

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2014-11-24 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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