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異世界のイストワール  第5章~血塗れのテキスト~  その1

 
~前回のあらすじ~
武器屋や防具屋などに立ち寄り、各々が買いたい物を決めたシャク達はラフシュタットでアルバイトを探すことにした。そんな中、アルバイトが見つかり凡そ一日中働いたシャク達。此処からが問題だ。

以下は続きです。
 

 
*人助け、荷物の配達、花の水遣り、町の掃除……とあらゆる仕事をしたシャク達。その為、真昼であった世界はもう夕方である。
汗をかいて気持ち悪い体を、ラフシュタット一番の宿屋アルベルゴで流す。そして、さっぱりし、部屋のふかふかベットに寝転ぶ。
「あぁ~すげぇー働いたぜ!!」
とシャクはベットの上で伸びをする。
「そうだねぇ~!クタクタだよ!」
ノアもベットの上に寝転がって言う。
そんな二人を椅子に座って眺めているヒカルは不満げな表情をしている。
——————もうこの世界で一日が終わろうとしている・・・だったら、現実世界に戻ったら約19時くらい・・・流石にやばいぜ・・・。
「どうしたんだ?ヒカル。何か言いたそうな顔してさ。」
シャクがきょとんとした顔でヒカルに問い掛けた。
「何か不満でもあるの?いっぱいお金稼いだのに。」
とノアもヒカルを見つめる。
「・・・呑気過ぎるんだよ・・・・シャク・・・・」
「は?」
ベットの上の二人は首を傾げる。
——————呑気過ぎる?・・・俺が?
「一体何を言ってるんだよ?」
「俺等は帰らなきゃいけねぇーだろうが・・・・」
ヒカルが小声で言う。
そこでシャクは閃いた。
——————すっかり忘れてた!此処は俺等の本当の世界じゃねぇーんだ!此処は異世界・・・現実世界じゃない!
「あ、あ、あ・・・そうだったな・・・」
「シャクちゃん、ヒカルちゃん・・・帰るの?」
「あ、いや・・・」
「バルコプエルトに行かないってこと?」
「い、いや、そうじゃなくて・・・」
聞いてくるノアにシャクは戸惑った。
——————異世界の人間には俺等の事を言っても良いって言ってたよな・・・ラー。・・・魔族は駄目って言ってたけど・・・。
「何かあるの?秘密?」
ノアはぐいぐい聞いてくる。
「えっと・・・・」
苦笑して言葉を紡ぐ事が出来ない勇者に苛立ったのか、魔法使いの青年が少し怒った様な口調でノアに言った。
「俺等は此処の世界の住人じゃないんだ。俺等は別世界から来た人間で、この世界と別世界を行き来してるんだ。だから、此処にずっと居る事が出来ない。」
「ヒカル!」
「良いんだよ・・・ラーは魔族には駄目って言ってただけで普通の人なら大丈夫だよ。」
「でもさ・・・!」
「此処とは違う別世界・・・・?」
ノアの目が次第に輝いて来る。
「別世界があるの?」
「あ、あぁそうなんだ・・・」
「凄いね!シャクちゃんとかヒカルちゃんって変人なんだ!凄いや!」
「変人・・・?」
「別世界か・・・・行ってみたいけど、やっぱりこの世界が一番なんだよね。」
ノアの発言にシャクとヒカルは意外そうな顔をした。
てっきり、彼の事だから‘行ってみたい!’とか‘連れてって!’とか言うらしかったが・・。
「自分が居る世界が一番なんだ。そこが本当の自分の居場所だからさ。」
「ノア・・・」
「でもでもさ、何でシャクちゃん達はこの世界に来たの?」
「何でって・・・」
「何か理由があるんでしょ?」
「ま、まぁ・・・」
「教えてよ!何か手伝いが出来るかもしれないからさ!」
ノアは笑顔を向けて言い放つと、聞く気満々でシャク達を見た。
シャクはヒカルを見た。当のヒカルは「知らねぇーよ」と言う風な顔をしてシャクを見返す。
勇者は軽い溜息をついて口を開く。
「・・・魔王をさ・・・倒さなきゃいけねぇーんだよ・・・女神に頼まれちゃってさ・・・」
「女神様に頼まれた・・・・?」
ノアは首を傾げる。
「そう。」
ノアは返事を聞いて、何かを思い出す風な表情をする。
そして、数分して口を開く。
「幼い頃にね、聞いた事があるよ・・・・女神様に何かを頼まれた人は“勇者”だって・・・もしかして・・・シャクちゃん達って勇者なの?」
「あぁ・・・」
「凄いや!!生きてて本物の勇者に会えるなんて!!しかも、一緒に居るよ!!」
ノアは飛び跳ねて、喜びを表した。まるで、有名人にでも会ったかの様にだ。
「おい!あんまし、俺等が女神の使いの勇者だって言いふらすなよ!」
とシャクが注意をする。
そんな勇者の発言にノアは口に両手を当てて頷いた。
「そ、そうだよね・・・魔族達にバレたら駄目だもんね・・・・ごめん・・」
「そうそう。」
「・・・・で、シャクちゃん達は一度、自分達の世界に戻りたいって言うんでしょ?」
とノア。
「あぁ、そうなんだ。」
「戻って良いよ。オイラは此処に居るからさ。」
「マジでか?」
「うん。」
「でもさ、マードレさんに・・・」
「もし、何かマードレさんに言われたら何か言い訳をしておくよ。」
ノアは微笑を浮かべた。
「ありがとう、ノア。」
「どういたしまして!・・・・あ、そうそう!お土産頼むよ!!」
陽気な手品師の言葉に苦笑しつつもシャクとヒカルは心底ノアに感謝した。そして、天使ラーから貰った、現実世界と異世界とを行き来する指輪——————‘天使の指輪’を翳して、帰りたい場所を想像する。
その瞬間、ノアの前からシャク達は消えた。

———————勇者が現れたんだ・・・・。それ程までに世界が危機に晒されている・・・。
ノアは真剣な表情をする。
———————あの爆発・・・三大陸の制圧・・・本格的に魔王が動き出しているんだね・・・。
拳を硬く握り締める。
———————ミーシア・・・。
手品師は最愛の妹であるミーシアの笑顔を思い浮かべ、彼女の無事を祈った。




荒廃。
破壊。
残酷。
粉々。
悪臭。
炎上。
悲鳴。
流血。
暗雲。
灰色。
雷鳴。
寒気。
悪夢。
絶望。

光の母親が家に帰っていない事を確認した灼達は、光の家から出て我が目を疑った。
灼は家路に着こうとしていたはずであるのに、我が目を疑う破目になってしまったのだ。
——————何で・・・俺等の世界が・・・破壊されているんだ・・・・!!
彼等の目の前に広がる光景は、今までの世界じゃない。

これは違う。

立ち並んでいたビルは破壊され、道路には皹が入り、硝子は地面に飛び散り、炎は舞を披露している。そして、何よりも先に灼達の目に飛び込んできたのは———————。
——————何で・・・魔物が居るんだ!!!
今までに見た事も無い大勢の魔物達が現実世界を徘徊しているのだ。
「何で・・・魔物が!!」
人々の悲鳴が上がり、地面に倒れていく。赤ん坊の声まで聞こえてくる。何かを食べる音まで聞こえてくる。時折吹く風には血の臭いさえも混じっている。
灼と光はその場に立ち尽くしていた。
戦おうにも戦えない。現実世界に戻れば、装備していた武器や防具は外れてしまうからだ。
制服姿の灼達は呆然とするしか方法が無かった。
「な、何でどうやって・・・魔族達が・・・俺等の世界を嗅ぎつけたんだよ・・・」
光は声を震わせながら現状を飲み込めないで呟いた。
「俺等は何も言っていないはずだぜ・・・・それに・・・魔王には遠方で会っただけぜ?何で・・・」
「もしかして・・・・気配で分かったって言うのかよ・・・・」
「!」
灼の言葉に光は頭の中が真っ白になった。
「てか・・何が何だかさっぱり分かんねぇーよ・・・・・」
赤髪の青年は現状を飲み込めずに居た。

しかし、一つだけ・・・・一つだけ分かる事がある。

お仕舞いだ・・・・。
何もかもが消えてしまう。

と言う事。

その時、急に光が気が狂ったかの様に叫び始めた。
「母さんは!!俺の母さんや父さんは!!」
そこで灼も気付いた。
——————母さん!父さん!
「母さん!父さん!」
光は叫びながら母親を捜そうと足を進める。そんな彼を灼は辛うじて保っている正気を奮い起こして止めた。
「光!今は止せ!危険だ!」
「放せよ!!母さんを捜さないと!!」
「今は駄目だって!武器がねぇーんだ!戦えるワケがねぇーだろ!」
「五月蠅い!!そんなんどうだって良い!!」
「良くねぇーよ!」
揉めている青年達に気付いたのか遠方から魔物達が向かって来る。素早く灼はそれに気付き、何とか光を引っ張り、建物の陰に隠れた。そして、やり過ごす。
——————俺だって・・・母さんや父さんを捜したいよ・・・でも・・・無理なんだよ!
戦争の如く荒れた世界は悲惨だった。
魔物達はゲームをしているかの様に人間達を追い掛け回し、走れなくなった奴等を食い荒らす。骨までしゃぶり、血も飲み干す。
灼と光は血が出る程唇を強く噛んで逃げ惑う人間達を物陰から見る。

酷過ぎる。

灼は目を硬く閉じて俯いた。

こんな光景・・・見たくなんかねぇーよ・・・・。


その時だった。
急に光が硬直した。灼はそんな親友が見る視線の先を見た。

驚愕。

何故なら、魔物達から逃げる中に、光の母親が混じっていたからだった。
「母さんっ!」
光は咄嗟に叫んだ。
母親のすぐ背後には巨大な斧を掲げた大型の獣型の魔物。
「母さんっ!」
光は思わず駆け出そうとした。しかし、灼に止められてしまう。
「光!」
「放せ!母さんを助けないと!」
光は必死に灼の手を振り払おうともがく。しかし、彼は絶対に放さない。
「止めろ!」
「母さんが!!」
「分かってる!!!」
灼の声は震えていた。恐怖と悲しみで。

大切な人が死ぬ。
目の前で。

聞こえない。
誰が止めようが。
感じない。
誰が足を折ろうが、斬ろうが。

光は今、そんな状況に陥っている。
助けないといけないと言う感情に光は支配されている。自分の事など何も思っていない。
必死に抵抗する光を灼は放さなかった。
この手を放したら光が光で無くなってしまいそうだったからだ。

その時。

時が止まった。
血しぶきも止まる。
涙も止まる。
呼吸さえも止まる。

今、目の前で何が起きた?

どさりと前のめりに倒れた。
何かを大切そうに抱えた人間が。
群がる。
何かを大切そうに抱えた人間に。
骨を折る。肉を食らう。血を吸う。
何かを大切そうに抱えた人間の。

彼女を犠牲にして共に逃げていた人間達は去って行った。
「助かった」とでも思っているのだろう。

光は声を上げることが叶わないまま、地面に両膝を突き立てて虚ろな目を見開く。
灼も驚愕のあまり声が出ない。
代わりに吐き気に襲われる。
光はその場に咳き込む。
彼も吐き気に襲われているのだろう。
「光!」
灼は光に呼び掛ける。
しかし、彼は力尽きたかの如くその場に倒れた。


続く…。
 

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2014-11-11 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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