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異世界のイストワール  第2章~スピアッジャの浜町~  その2

 
~前回のあらすじ~
異世界へ飛んだ灼と光は、異世界の海へと落下してしまった。その海で溺れて気絶していたところを、スピアッジャと言う浜町に住んでいる青年アレクに助けられた。そして、彼等は今日、漁に出る。

以下は続きです。
 

 
*本棚が並び、非常に不気味だが、掃除の行き届いた部屋。魔王の部屋らしい部屋だ。その部屋の中で、机に向かい、パソコンと睨めっこをしている影があった。彼は少し悩み顔で、掛けている黒縁眼鏡を中指で押し上げた。当のパソコンは画面を真っ暗にして居座っている。
「・・・厄介な機械だな・・・・」
独り言を漏らす影は睨めっこを再開する。

数分後、眼鏡を掛けた影は机に置かれたコーヒーを一口飲んだ。そして、考える。
——————俺は一体どれくらいコイツと睨めっこをしていれば良いのか・・・。
誰も知る由も無い。

その時だった。
影の部屋の扉にノックの音が聞こえた。
「ヘンリ様、入っても宜しいでしょうか?」
と少年の様なくぐもった感情の籠ってない声がした。
ヘンリと呼ばれた影は扉を横目で見ると、「あぁ」と返事をした。
彼の返事と共に、小さなモノが入って来た。
青黒く短い髪の毛、その前髪は少し目に掛かっていた。白衣を纏い、書類を持っている。
この格好からすると男の子だと思われがちだが、女の子である。
「書類をお持ちしました。」
「そこの机に置いてくれ、リンネル。」
「はい。」
少女は机の上に書類を置いた。そして、主を無表情で見つめた。
「ヘンリ様、何をなさっているのですか?」
「あ、あぁ・・・別に何でも無い。」
ヘンリは真っ暗な状態のパソコンを閉じると、残ったコーヒーを飲み干した。
「パソコンが何か?」
とリンネルと呼ばれた少女。
ヘンリは顔を引き攣らせると、咳払いをして言った。
「何でも無い。・・・・・それより、お前が持って来た先程の書類は何だ?」
「人間界制圧の計画書類です。ヘンリ様のお兄様、ローレライ様が女神を捕らなさったでしょう?それ以後、女神の加護が無くなった人間界を今後、どの様にお二方、つまり、滅神王ヘンリ様とローレライ様がどう支配なさっていくかを書く書類です。」
「あぁ、それか。」
ヘンリは書類を手に取った。
「今は既に人間界へ魔物達を野放しになさっていらっしゃいますが・・・」
「まぁな・・・」
ヘンリは返事をしながら書類を眺めた。
少しして、リンネルは思い出した様に口を開いた。
「そう言えば・・・既にローレライ様は書いていらっしゃったらしいですが・・・」
「あの馬鹿兄が!?」
「はい。」
「見せろ!アイツの計画書を!」
「それは出来ません。」
「どうしてだ?」
「ローレライ様にお仕えしている大悪魔神官は、私の兄のカルコスです。彼がローレライ様の書類を常に管理しているのは十分にご承知の上でしょう?」
「あぁ、だがな・・・」
「よって、出来ません。」
「じゃぁ、カルコスに言えば見せてくれるか?あの馬鹿兄の書類は提出する前に俺がチェックしないと・・・くそ・・!」
「ヘンリ様の書類も提出する前には私がしっかりチェックしないと・・・と言うか書き直しておかなければ・・・・・字が汚いから・・・・読めないから・・・」
リンネルが小声で呟いた。
「何か言ったか?」
「いいえ、何も・・・・でも、どうでしょうか・・・ローレライ様の書類は無いかもしれませんね。」
リンネルの言葉にヘンリは呆れた表情をした。
———————確か、大悪魔神官リンネルの兄・・・大悪魔神官カルコスは馬鹿兄をいつも扱いている奴だったな・・・。だったら、リンネルの言う通り、奴の書類は最早・・・灰と化しているか・・・。
「リンネル、ホットコーヒーを持って来い。仕事をする。」
「はい、承知しました。」
リンネルは言うなり、滅神王ヘンリの部屋を後にしようとした。しかし、扉を開けて、
「ヘンリ様、パソコンの電源はパソコンを開いて中央に御座いますよ。」
と言い、少女は出て行った。
ヘンリは一瞬どきっとしたが、何事も無かったかの様にパソコンの電源を入れた。



太陽が笑う、晴天の下——————船上で大量の魚を網から出しては、氷が入った箱の中に入れていく青年達と中年の親父達。
“ちょっと、勇者様!こんなところでこんな事をしてても良いんですか!良くないですよね!?”
魚を網から出している勇者シャクの耳元で、15cmくらいの大きさの天使ラーは言うのであった。しかし、当の勇者は忙しそうに返答をする。
「仕方無ぇーだろ?命の恩人の誘いを断るなんかできっこねぇーよ。」
“それもそうですけど・・・”
「大体、ラーがちゃんとした陸地に飛ばしてくれれば、あんな海で溺れるような事は無かったんだし、アレクと出会う事も無かったんだぜ?だから、ここで漁をすることも無かったワケだ。」
“すみませんでした・・・ずっと勇者様達の世界に居たせいで天使の魔力が薄れてたみたいで・・・”
「言い訳かよ・・・・まぁ良いけど・・・っと、アレク!この魚レアじゃね!?」
とシャクがアレクに向かって叫んだ。
「おぉっ!!スゲェー!これ超レアだよ!ヤッホーっ!」
アレクは大喜びで飛び跳ねる。
ラーは溜息をついて、船の縁に座った。そんな天使の近くに何もせずに立っている青年の姿があった。ヒカルである。
ラーはヒカルに問うた。
“勇者様っていつもこんな感じなんですか?”
「あぁ。大体こんな感じ。一緒に居て呆れるぜ・・・・」
“でも、ヒカルさんは勇者様の事、嫌いじゃないんですね。”
「は?」
“だって、勇者様と一緒に居ると、ヒカルさんの表情は他人に見せる表情じゃないんですもん。心を許した人にだけ見せる顔って言う感じで・・・”
「ンな事ねぇーよ・・・・」
ヒカルは言うと、アレクと喜んで跳ねているシャクを見た。
その時だった。
“ヒカルさんっ!!”
ラーが甲高い声でヒカルの名前を呼んで来た。
「どうしたんだよ・・・?」
ヒカルは少し面倒そうに彼女の方を向いた。ラーは海を見下ろしていた。そんな彼女の横顔は青褪めていた。不審に思ったヒカルは彼女と同じ様に海を見下ろした。そこで、彼も驚愕した。
何かが船にしがみ付いて、上がって来ている。
「!」
“海の魔物ですよ!!!魔物っ!”
「魔物っ!?」
ヒカルは聞き返した。が、彼は振り返ってシャクに向かって叫ぼうとした。
「シャ・・・・」
しかし、背後におぞましい気配を感じた。船の縁に鋭く尖った脚が乗る。ヒカルは恐怖に支配され、その場から動けなかった。
がりがりと縁に傷がつく音が聞こえる。
“ヒカルさんっ!!”
ラーの悲鳴にも似た叫び声が聞こえたのか、シャクが気付きヒカルの背後に迫る魔物を発見した。
「ヒカルっ!逃げろ!!」
シャクの声で恐怖から解放されたヒカルは我に返って、走った。シャクの絶叫に、船上の人間達が各々武器を構える。
船上に上がって来たのは、鮫が白骨化し、鰭が鋭い武器に成り果てた——————キラーシャークと呼ばれる海の魔物だった。
「キラーシャークだ!!」
船上に叫び声が響き渡る。
そんな中、ラーがシャクの方へ飛んできて言う。
“勇者様、魔物ですよ!魔物!”
「だよな!魔物だよな!初めて見たぜ・・・」
“感動してる場合じゃないですよ!ほら、戦って!”
「戦ってって言われても・・・武器なんかねぇーじゃん。」
「シャク!!」
アレクが叫んで銛を投げてきた。シャクはそれを受け取り戸惑った。
「は!?」
「それで戦うんだ!」
と銛を構えているアレク。
「戦うってな・・・」
「キラーシャークは一匹だけじゃない!未だ、海から数匹は船上へ上がって来る!」
「マジで!?」
「あぁ。だから、この銛で倒すんだ!」
アレクは叫ぶと銛を手にし、雄叫びを上げて魔物へ向かって行った。
そんな彼を見てシャクは呆然としていた。
———————魔物をこの頼りない・・・叩いたらすぐに折れそうな銛で倒すなんか・・・できねぇーだろ・・・・。
“勇者様!!”
ラーの声でシャクは我に返った。
「何だよ・・・急に・・・」
“戦って下さい!”
「はっ!?出来るわけねぇーだろ!俺、何もしたことねぇーよ?唯の人間だよ?」
“アレクさん達だって唯の人間です!”
「ンな事ァ分かってるよ・・・」
“勇者様、さっき言いましたよね?アレクさんの事・・・命の恩人だって・・・”
「あぁ・・・言ったよ。」
“此処で挽回です!勇者様の命を救って下さったのなら、今度は勇者様が此処でみんなを救う番です!”
「みんなを救う・・・・俺が・・・?」
“出来ます!勇者様なら!”
その時、アレクの悲鳴が聞こえた。周囲を見回して見れば、船上にはキラーシャークが三匹居た。そんな中、シャクはアレクを発見した。
彼はキラーシャークの鋭い鰭で腹を深く抉られたらしく、片膝を突き立て、苦しそうにしていた。
「アレク!!」
シャクはアレクに襲い掛かろうとするキラーシャーク目掛けて突っ込んで行った。
「シャクっ!」
ヒカルがそんな無防備な親友に向けて叫んだ。しかし、彼は止まらない。シャクは雄叫びを上げ、アレクに振り翳された鋭い鰭を銛で突き刺し、力任せに引き抜いた。
「ギャーっ!!!」
魔物の甲高い悲鳴と共に、体液と引き抜かれた鰭が舞った。
「シャク!」
「アレク!腹は大丈夫か!?」
「あ、あぁ・・・何とか・・イテテ・・・」
「何とかじゃねぇーだろ!!その怪我!」
「アハハ・・・」
と力無げに笑うアレク。そんな彼を庇う様にシャクは銛を強く握り、立ちはだかる。
「シャク・・・・」
当のシャクは先程、攻撃したキラーシャーク—————片鰭を失ったキラーシャークを睨んでいる。
「コイツに止めを刺したら、後で二匹とも俺が始末してやるよ。」
「シャク・・・そ、それは無茶だって・・・・ほら、みんな苦戦してるんだし・・・」
「大丈夫だ。任せなって!」
シャクは目を光らせると力を溜めた。
「一発で終わらせてやるぜっ!!!」
と叫ぶと、銛をキラーシャークに向けて素早く突き出した。


続く…
 

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2014-10-22 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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【異世界のイストワールⅠ】
プロローグ
1章2章3章4章5章
6章7章8章9章

~番外編~
Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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