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異世界のイストワール  第15章~異世界に別れを告げて~

※字抜けとか字間違いとかしているかもしれませんが、許して下さい。
後、これは未だ終わりじゃないから。
明日が何と、最終章!!


第15章~異世界に別れを告げて~


*戦いが終わった魔王の間は静かだった。
そんな中に魔王を封印した勇者達と滅神王の姿があった。
疲労感でいっぱいなのだろうか、誰一人として愚痴を吐こうなどと言う行為はしなかった。
それは、突然聞かされた部下達の死のせいだった。
シャク達は大悪魔神官カルコスとリンネルの勇敢なる行動を全て彼等に話した。どれも仕方無い行為だった。
大切な人を守る為の——————。
「やはり・・・私達がエウリアを使おうとしたのが原因だったんだ。」
ローレライは唇を噛む。
彼の横ではヘンリが目元を押さえ、涙を伝わせていた。
大切な部下を失った事は大きい傷だ。
魔王三男を封印したとしても何の喜びも無い。
だが、いつまでも悲しみに暮れる魔族と共に居るわけにもいかない。シャクは重たい口を開く。
「俺等は・・・女神様に報告をしに戻らないといけないから・・・・その・・・・」
申し訳なさそうに呟く勇者にローレライは作り笑いを浮かべる。
「そうだな・・・」
そして、手を差し出した。
勇者は戸惑う。
そんな彼にレイアが小突く。
恐らく、握手を求めているのだろう。青年は魔王の手を握る。
「ありがとう、異世界から来た勇者よ。お前等のおかげでこの世界は救われた。人間界も、天界も幻界も・・・そして、我等が住む滅界も・・・な・・・」
シャクは少し微笑む。
しかし、素直には喜べない。だから、微弱な笑顔は消える。
他にエウリアを良い魔物に戻す事が出来たはずじゃないのか。
昔から笑顔で話す様な良い魔物の振りをしていられたのなら、そのままで居ても良かったんじゃないのか。
こんな暗いテンションを打ち消そうとしたのか、ギルティが声を上げた。
「何か、魔族がそんな神染みた台詞吐くと変だぜ。」
明るく言った人間にローレライは苦笑する。
「まァな・・・・」
そして、横で一言も喋らない弟を見る。
彼はやはり悲しみ暮れていた。
確かに世界を救った気はある。だが、嬉しさは無い。勇者として崇められる人間にはなれない。人々に感謝されたくはない。
「・・・守れなかった・・・・」
小さく呟く勇者に魔王達は目を伏せる。
誰もが無言だった。
その時。
傷付いた彼等を優しく包む光が在った。
その光は彼等の視界を輝きで満たした。
頭を撫で、包み込んでくる。
そのせいか、自然と涙が溢れて来る。
そんな輝きの中、綺麗な声が響いた。

——————ありがとう・・・・。


☆ ☆


良い匂いの風が頬を撫でていく。
淡い桃色の美しい花々が花弁を風に躍らせながら、聖なる者達の帰還を嬉しそうに歌う。
滅神王城でシャク達を包んだ光は女神の発したモノだったらしい。
今、魔王二人を含んだ彼等が居るのは神の国。
純白の女神を前にしてシャク達は姿勢を正す。
そんな彼等に女神は慈愛に満ちた笑みを浮かべる。
「勇者、そして、その仲間達よ・・・よく、世界を救ってくれました。」
天使達も満面の笑みをする。
「貴方達の様な良き人間がこの世界に居れば、私達も安心できます。」
「へっ、そこまで褒められるとは照れるなァ。」
とギルティが笑う。
だが、シャクは喜べないで居た。
女神は勇者を見つめた後、魔王二人に視線を向けた。
「ローレライ、ヘンリ・・・」
名を呼ばれたローレライは一歩前に出る。
「女神メリティス・・・」
「本来ならば、貴方達も封印されるべき存在なのですが・・・・私は敢えてしません。・・・・その理由が分かりますか?」
と言う女神の問いに長男は首を傾げる。
「いいや、分からないが・・・・相変わらず、貴方も甘い方です。」
「それは十分に分かってることです。」
「フフ・・・」
笑うローレライに女神は慈愛の眼差しを向けて続けた。
「今回の争いで、貴方達は痛みを知ったはず。大切な者を失う痛みを・・・・だからです。」
女神の言葉に魔王二人は黙る。
そんな彼等を見つめ、女神は少しして続けた。
「私の実体を全て生命の魔力へと変化させ、魔族の攻撃及びエウリアとの戦いで死んだ者を甦らせます。魔物も人間も。」
「!」
皆が驚く。
「それと引き換えに、ローレライ、ヘンリ・・・・魔物達に教育をして下さい。“人間と共存していく未来を築く”教育を・・・・」
女神の意外な言葉に驚愕する人間達を横に、ローレライは満面の笑みを返した。
「人間と共存していく未来・・・・か・・・・フフ、悪くは無い。」
「ローレライ!!」
そこで初めてヘンリが声を上げた。
「俺達は魔族だぞ!魔王だぞ!それなのに、何故人間どもと共存を・・・・!・・・それに、何だこの同情はっ!」
「ヘンリ、これは我々にとっては大きな進歩だ。どの魔族もやった事の無い、人間との共存は素晴らしいとは思わないか?それに・・・・人間達の暮らしを観察し、魔族達の生活スタイルを大きく変え、更に魔界をレベルアップさせてはどうだろうか?」
「いや、しなくて良い。魔界は魔界のままで良い。」
とヘンリ。
ローレライは尚、暴走し始めた。
それ故、普段の口調になっていった。
「嗚呼、人間と魔族の生活・・・・・考えただけでワクワクしない?・・・・街角であった貴婦人とお喋りをし、小鳥達の囀りを聞き、太陽の光をめいいっぱい浴びるの!他にも・・・・・」
何やら、妄想をし始めた兄を無視し、ヘンリは女神に言い放った。
「例え、貴様が俺等に同情し、甦らせたところで俺等は魔族のままなのだ。人間達とは共存できない。」
しかし、そんな魔王にミーシアが声を掛けた。
「出来ると思いますよ。」
少女の声にヘンリは視線を向けた。
「人間も魔族も同じなんです。みんな、喜んで、楽しんで、悲しんで、怒って・・・同じ感情を持ってるでしょう?だから、同じ。私は、ヘンリーさん達が村に遊びに来ても歓迎しますわ。」
「“ヘンリー”じゃない!“ヘンリ”だ!」
次男は怒鳴る。
それに皆が笑う。
そして、女神は勇者へと視線を戻した。
「これで胸の痞えが取れましたか?」
「女神様・・・」
「貴方達を危険な目に遭わせた挙句、更なる悲しみに沈ませて放っておくことなど、私には出来ません。だから、せめて・・・」
「女神様!」
静かに言い放った女神にペインが口を開いた。
「幻界に残っている皆はどうしているんですか?」
王女の問い掛けに皆が女神の答えを待つ。
当の神は目を閉じ、微笑んだ。
「幻界で皆さんの帰りを待っています。」
応えに勇者達の顔が喜びに綻ぶ。
歓声が上がる。
そんな中、シャクは思う。
異世界を救うと言う目的を果たした後は———————この世界に別れを告げなくてはならない。
シャクだけではない。レイアもヒカルも苦笑を浮かべ、暗い瞳を輝かせていた。
自身等はこの世界の人間ではない。
だが、戻ったところで現実世界は滅茶苦茶だ。
ヒカルの両親は殺され、何もかもが悪夢染みた光景と化してしまっている世界に誰が望んで帰りたいものか。
無言になった青年達に女神は美しい顔をして言い放った。
「シャク、レイア、ヒカル・・・・異世界であるにも関わらず、貴方達を此処へ呼んで申し訳ありませんでした。」
「確かになァ~、こんなに俺等強いのに勇者に選ばれないなんてな!」
ギルティが肩を竦めて言う。
そこへ、ヴェロニカが顔を赤くして声を上げた。
「そうっすよ!サリエルさんが勇者に選ばれないなんて可笑しいっすよ!!」
「ヴェロニカ・・・」
とサリエルは苦笑する。
口々に言う若者達を眺め、女神は口を開く。
「強き人間達がこの世界に居るのは十分承知の上でした。しかし、この神鏡の盾を持つ事ができる人間はこの世界に居なかったのです。」
「で、その盾が選んだのがシャクってワケですかい?」
とオルバ。
彼の言葉にレイアが目を半眼にする。
「何でシャクなのよ?コイツ、唯の怠け者でアホな奴よ。」
「何だと!」
レイアの言葉でシャクは怒鳴る。
「俺も同意。」
ヒカルも頷く。
「ヒカルまでっ!」
悔しい顔で言う勇者に女神は微笑む。
「ですが、貴方は世界を救ってくれました。本当にありがとう、勇者よ。」
「い、いやァ・・・・」
頬を掻いたシャクは暫くしてから真顔に戻り、女神に言葉を発した。
「女神様。俺等は現実世界に戻らないといけないじゃないですか。」
「はい。」
「ですが・・・俺等の世界は・・・・」
曇った表情の彼等に聞き覚えのある声が掛けられた。
“約束したでしょ!女神様に頼んで世界を元通りにしてあげるって!”
声の主はシャクの方へ飛んできた。
天使の羽を広げて———————。
「ラーっ!」
ラーは微笑むと胸を反らした。
“約束は守らないとねっ!”
「って事は・・・・」
「貴方達の破壊された世界・・・・確かに私が元通りに戻しました。戻れば、貴方達が此処へやって来た時の時間になっているはずです。」
女神の発言にシャク達はお互い顔を見合わせて喜んだ。
しかし、喜んだのも一瞬だった。
家に帰れるのは良いのだが、これまで共に旅をしてきた仲間達と離れるのは辛い。
どんな困難も共に乗り越え、強敵と戦った。
笑い、泣き、怒鳴り合った日々。
そして、深まった絆。
「異世界の人間だったんか・・・・シャク達・・・」
とヴェロニカがぼそりと呟いた。
「って事はお別れですか・・・・」
とカーツ。
「お別れ!!何て事だ!レイアさんの様なお嬢さんと会えなくなるなんて!世界の終わりだ!」
ディが悲痛な顔で叫んだ。
そんな男にレイアは冷めた眼差しを刺した。
「言い過ぎよ。てか、その台詞・・・殆どの人に言ってるんじゃない?」
「とんでもない!」
苦笑する彼等を見、ヒルダが一歩進み出た。
そして、口を開く。
「シャク・・・・色々と世話になったな・・・・そして、かなり迷惑をかけた・・・」
「いえ・・・」
微笑む青年に今度はサリエルが声を掛けた。
「俺からも謝罪と感謝の言葉を言わせてくれ。」
「サリエルさん・・・」
当の彼は妖艶な笑みをし、手を差し出した。
「本当に申し訳なかった・・・・そして、ありがとう・・・・」
シャクはニルバーナの向日葵となる青年の手を強く握った。

異世界から招かれた若者達は順々に共に戦った仲間達の手を握った。彼等の手は生命力に溢れていた。そんな彼等と別れるのは正直辛い。だが、このままこの世界へ留まる事など出来るわけがない。若者達はこの世界の人間では無いのだから。
その刹那—————。
シャク達三人の体が光を帯びてきた。
そして、輝きと共に薄れていく。
無理も無い。女神に選ばれた人間として、勇者として、この世界を救うと言う使命を果たしたのだから。
そんな若者達に女神は言う。
「異世界から選ばれ、この世界を救いし勇敢なる若者達よ。元の世界に戻る時間が来ました。さぁ、目を閉じ、祈るのです。貴方達が居た世界を思い描くのです。」
女神の言葉を聞いて、シャクは仲間の方を向く。
そして——————。
「もう・・・本当のお別れみたい・・だな・・・」
それに皆が頷く。
「みんなと過ごした日々、凄く楽しかったわ。」
とレイア。
「幻界で待ってるゼノさん達にもそう伝えて下さい。」
「分かった。言っておこう。」
ペインが微笑む。
「それじゃァ・・・又、会える日まで・・・みんな・・・元気で・・・」
「へっ!会える日までってな、どーせ、すぐに又会えるんだろ?」
シャクの言葉をギルティが遮った。
彼はにやりと笑い、続ける。
「この世界とテメェー等は何らかの力で繋がってんだからさ。」
「ギルティさん・・・」
穏やかな笑みを浮かべる三人にヴェロニカが叫ぶ。
「そうそう!!何か又会ったら来てよね!」
「シャクさん達のこと、待ってますから。」
ミーシアも微笑む。
「今度は幻界にも早く遊びに来て下さいねぇ。」
とスピオ。
「その時は一緒にカジノへでも行きませんか?」
「スピオさん・・・」
若者達は相変わらず賭け事が好きなんだな、と苦笑する。
そんな弟の横ではディが涙を堪えていた。
各々別れを言い合う皆の後に、ローレライが笑ってシャク達に握手を求めてきた。
若者は握手を交わす。
「今度、貴方達が此処へ来た時はきっとビックリするわよ。人間と魔族が仲良く暮らしているから・・・ね♪」
「あァ、期待しとくよ。」
そして、魔王長男は次男に声を掛けた。
ヘンリは冷めた目を青年達に向け、眼鏡を押し上げると冷たい口調で言い放った。
「人間など脆いものだと思っていたが・・・・それは俺の思い間違いだったらしいのだ。だがしかし、俺は人間と馬鹿な兄の様に仲良く手を取り合って生きていこうとはしなのだ。それだけは覚えておくのだ、勇者よ。」
「何よ!素直に“魔界を救ってくれてありがとう”って言えば良いじゃない!もう~、ヘンリーのツンデレさんったら!!」
とローレライが弟の肩を叩く。
「“ヘンリー”じゃない!“ヘンリ”だ!!何度言えば分かるのだっ!!」
笑い合う頃にはもうシャク達を包む輝きが増していた。
現実世界へと戻る青年達に女神は慈愛に満ちた微笑で見送る。
「聖なる輝きの子達よ・・・・いつでもは私達は貴方達の幸運を祈っています。そして、いつの日か再び会える事を願っています。」
そんな美しい声と共に、絆を築いた仲間達の声に送られ、シャク達は輝きと共に神の国から消えた。



☆ ★ ☆ ★ ☆




何か聞こえる。
普段聞いていた声達。
魔物などの奇声じゃない。しっかりとした人間達の声だ。
赤い髪の毛をした青年は目をゆっくりと開けた。
夕日に赤く染まった教室の天井が見える。
そして、身を起こす。
横には金髪の青年と長い淡い水色の髪をした女の子が倒れていた。
同じ制服。
そこで青年ははっと目を見開き、己の指を見た。
彼の指には羽の指輪が填められていた。
——————これはっ!
その指輪のおかげで全て思い出す。

天使。
異世界。
村、町。
広大な海、大陸。
戦い。
魔物。

そして、神と魔王。

——————俺等は確かっ!

次第に横の青年達が起き上がる。
「・・・此処は・・・?」
目を擦り、冷愛が甘えた声で呟いた。
「教室・・か・・・・・」
光が頭を押さえて応じる。
「二人共、俺等・・・・・」
灼が安堵した表情で二人に呼び掛けた。
勇者となり世界を救った青年に光と冷愛は大きく頷く。

——————無事に世界を救い、俺等の世界に戻ったんだ・・・・・。

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2015-03-23 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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【異世界のイストワールⅠ】
プロローグ
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6章7章8章9章

~番外編~
Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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