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異世界のイストワール  第1章~青年達と迷い天使~   その1

 
~前回のあらすじ~
自分の居る世界とはとても遠いどこかの世界で何かが起こり始めていた。
不穏な動きは遠い自分たちの世界へ。
何でも無い日常を侵食始めた事に少年はまだ気づかない。

以下はその続きです。
 

 
第1章
~青年達と迷い天使~

*食パンの焼ける良い匂いがする。食卓に並ぶハムや目玉焼き、サラダなどを頬張り、テレビが語るニュースを見る赤髪の青年。
「次のニュースです。昨日、車道に巨大な氷の塊が突然落下し、そのせいで現在、そこは通行止めとなっております。又、昨日、晴天にも関わらず雷が落ちるなど多くの被害が出ています。・・・・」
「車道に巨大な氷の塊?んなワケあるかよ。」
レタスにマヨネーズをかけながら呆れた様に呟く。そんな青年の許へ母親が焼き立ての食パンと小瓶に入ったブルーベリージャムを持って来た。
「でも、本当の事なのよ。お父さんも昨日帰りに見たって。」
「幻覚、幻覚。昨日、父さん、酒を飲んで帰って来たんだから。」
「確かに、昨日お酒を飲んで帰ったけど、酔いが醒めてたみたいだし・・・」
「巨大な氷の塊とか晴れてんのに雷とか可笑しいって。母さん、信じ過ぎ。」
「灼・・・」
「んな事より、遅刻、遅刻!」
灼は母親からパンを貰うと、ジャムを塗り、大急ぎで食べた。そして、洗面所に駆け込み、大急ぎで歯を磨く。
「灼、サラダは?」
と母親。
「はぁー・・・はへられないから、はあさんたへていいひょ。」
歯を磨きながら言う息子を見て、母親は溜息をつき、灼が食べ終えた食器をシンクに持って行った。数分して、灼が洗面所から出て来て、鞄を掴み、玄関へ駆けて行く。そんな息子を見て、母親はタオルで手を拭くと後に続いた。
玄関で靴を履く息子に言う。
「忘れ物は無い?」
「あぁ。」
「提出物はちゃんと出せる様にしてあるの?」
「あ、あぁ・・」
「お弁当は持った・・わね?」
「あぁ。」
「英語の単語テスト、ちゃんと覚えた?」
「あ・・あぁ・・」
「今日は何時に・・・」
「行って来ますっ!」
灼は母親の最後の台詞を聞かずに家から飛び出た。早く出ないと遅刻になってしまう。
———————今何時だ?・・・げっ!8時13分じゃん!遅刻だよ。これ絶対ぇ遅刻だよ!
灼は全力で走った。あらゆる近道を巡り、走った。
———————これで今日遅刻したら俺、30回越えだよ。
遅刻の事ばかり考えていたせいで、何度も車と衝突しそうになった。
———————今日に限って自転車が故障してるとかマジありえねぇーよ。バス待てば良いじゃんって思うだろうけど実際、走った方が速いんだよ。
と、その時。
「あら、灼君じゃないかい。おはよう。」
「あ、おはようございます!」
声の主は母親が勤めている仕事先の、優しい中年のおばさんだった。灼は挨拶だけしてその場を離れ様としていたのだが———————。
「何か灼君に会うなんて久しぶりだねぇ。元気にしてたかい?」
「えぇ、まぁ・・・」
「何年生になったんだっけ?」
「え・・・高2です。」
「えっ!もうそんなになったんだねぇ~・・・やっぱ他人の子は成長が早いわ。」
「アハハハ・・・」
おばさんは苦笑する灼を喜ばしい目で見つめていたが、突然、思い出したかの様に口を開いた。
「焼子さん、今日は仕事何時くらいにいらしてかしら?」
「えっと・・・母は金曜日は休みですから・・・今日は来ないっすねぇ・・・」
「えっ!?今日、金曜日?」
「あ、はい・・・」
「うそでしょ!」
「な、何かあったんっすか?」
「うん。今日ね、キムチ鍋の素が安いのよ!いつもならね、315円するのが今日は何と128円で売ってるらしいのよ!安いでしょ!」
「あ、あぁ・・・」
「やだぁ・・・今から支度して出たら間に合うかしら?」
「・・・・な、何時からスーパー開いてんっすか?」
「9時よ!9時!」
灼は時計を見た。
———————8時28分。
「今、8時28分なんで、十分間に合うと思いますよ。」
「本当!?良かった!ありがとう、灼君。」
「いえいえ・・」
「それはそうと・・灼君、遅刻するんじゃないのかい?」
「えっ・・・あ、あ・・・」
「急いだ方が良いよ。」
「そ、そうっすね・・・・じゃぁ・・行って来ます・・・」
「行ってらっしゃい。」
灼は苦笑し、猛スピードで駆け出した。
————————‘遅刻するんじゃない?’ってアンタと出会った時から遅刻だよ!やべぇーよ!あ~、絶対ぇ、あのおばさんと喋らねぇーぞ!
走る。
その時、頭の中を朝のニュースが過ぎった。
“昨日、車道に巨大な氷の塊が突然落下し、そのせいで現在、そこは通行止めになっております。”
———————巨大な氷・・・。
気になる。気にしたくはないが、気になる。
———————ちょうど、学校へ行く道のルートに入ってたんだ。少し、その巨大な氷を拝んでみようかな・・・。
灼は今朝のニュースの映像を思い出し、その現場へと向かった。



テレビが、ニュースが語っていたものが実在した。
灼の目に飛び込んできた。
「・・・す、スゲェー・・・・マジで巨大な氷だ・・・・」
普通の家より少し小さい程度の、決して小さいとは言い難い大きさの氷の塊があった。車道に、地面に減り込んでいた。そのせいで、コンクリートには皹が生じていた。
「マジだった・・・」
それにしても、何故、秋なのに氷があるのか?冬とは未だ言えない季節なのだ。氷が振るなど可笑しい。
———————今、10月の半ばだぞ。氷なんか可笑しいって・・・・。
灼は巨大で美しい氷を眺めながら思った。
その時。
「こらこら、君。」
と声をかけられた。
声を掛けてきたのは警察の人だった。
「あ、はい。」
「君、高校生だよね?」
「あ・・」
「こんな時間に何うろついてるんだい?学校は?」
「い、今から行く途中だったんっす。すいあせん・・・」
警官は呆れた顔をした。
「早く学校に行きなさい。関係無いんだから。」
「あ、はい・・・」
警官に注意された灼は最後に氷を眺めて、走り出そうとしたのだが———————。
“こんな変な世界で氷魔法を唱えちゃったけど・・・大丈夫かな?”
と少女の声が聞こえた。
「!」
灼は驚いて周囲を見回した。必死に声の主を捜す。
自身の周囲。
氷の周囲。
警官達の周囲。
前後左右上下。ビルの陰———————居たっ!
数十秒して発見した。ビルの陰にキラキラと光る少女を。
———————な、何だ・・・あれ!
“まぁ、でも・・・仕方無いよね。あっちが悪いんだし。それにしても・・・このせ界の魔物は本当に怖いわ。って、こんな事してる場合じゃないんだった!!”
少女は慌てて飛び立とうとした。
その時。
灼と目が合った。水色の綺麗な瞳。
二呼吸後。
“勇者発見っ!”
と少女は叫び、小さく輝いている純白の羽を広げて、灼に突進して来た。
「え、ちょっ!」
灼の鼻と少女の鼻が触れ合うかと言う程の間隔————————。
“勇者発見。”
再び同じ言葉を発する煌く少女。
「ゆ、勇者?」
“えぇ。貴方、私をはっきり見ることが出来るでしょ?出来るでしょ?”
「え、あ、まぁ・・・」
“だから、勇者。はい、決まり。”
「はっ!?」
“私と一緒に来て下さい。そして、女神様を助け出して下さい!”
「はい?」
独り言を言っている青年に嫌気が差したのか、警官が遠くで怒鳴った。
「君!未だ居たのか!早く学校に・・・」
「はいはい!今、行きます!行って来ます!」
灼は警官の言葉を遮り、羽の生えた少女のか細く白い腕を掴んで走り出した。



そうこうして、いや、やっとの思いで灼が通う、“四天魔高等学校”に着いた。現在時刻は8時34分だった。靴箱。
“此処どこですか?”
「学校。」
“ガッコウ・・・ですか?”
「そう。つーか、アンタ何?」
“天使です。”
「天使!?」
“はい。私は天使ラーです。”
「いや、幽霊だろ。」
“失礼ですね!私は正真正銘、天使ですっ!”
天使と名乗る少女は灼に怒鳴ると頬を膨らませた。灼は靴を履き替えると、
「俺、どっかで気絶とかしてんじゃない?てか、どっかで寝てんじゃね?これ夢だろ?」
と自分の頬を抓った。
「痛ぇっ!!」
そんな青年を眺めて、天使は言った。
“夢なんかじゃないでしょ?”
「・・・・・」
灼は目を点にした。

時が止まった。

聞こえているのは風の音と枯れ葉が転がって行く音だけ。
次第に灼の顔から血の気が引いていった。

そして、数秒後——————。

「ギャーっ!!!!」
悲鳴が学校中に響いた。
 

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2014-10-17 : 【異世界のイストワールⅠ】 : コメント : 0 :
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プロフィール

十二仙 百露

Author:十二仙 百露
性別:女
年齢:18
身長:158cm
血液型:AB
誕生日:9月12日
好きな食べ物:甘い物
嫌いな食べ物:苦い物
趣味:小説、書道、絵を描く、模写、ゲーム、ゲーム実況見物

 

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【異世界のイストワールⅠ】
プロローグ
1章2章3章4章5章
6章7章8章9章

~番外編~
Happy Halloween !! . 2014

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【勇者の特権を取り戻す為に俺は魔王を復活させ、無限ループを繰り返す。】


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